Research Abstract |
内陸開発途上国と近接国の港湾を結ぶ陸上経路では,国境と港湾が輸送時間の安定を阻害するボトルネックになっており,輸送時間信頼性の低さが前年度および今年度の調査により明らかになった.輸送時間信頼性が低い経路での貨物輸送の一般化費用には,輸送時間変動によって発生する費用も含まれていると考えられる.したがって,内陸開発途上国によるクロスボーダー輸送の一般化費用算出には,輸送時間変動による費用を考慮したモデルが必要である.そこで,ラオスをケーススタディとして,スケジューリングアプローチに基づき輸送時間変動価値を推定し,さらに期待早着および遅着を確率的に表現した期待到着時刻変動モデルと統合することで,一般化費用を算出するモデル構築した.これにより,内陸開発途上国のクロスボーダー輸送の一般化費用をより正確に求められる. また,当該経路は輸送時間変動が激しいため,期待輸送時間推定は困難であると推測できる.インタビュー調査の結果より,内陸開発途上国の物流業者は過去の経験から次回の期待輸送時間を推定している,との仮説を立て,一般化平均概念を適用して仮説を検討した.分析の結果,より大きな輸送時間変動が見込まれる経路においては,過去の経験によって構築された個々人の平均知覚輸送時間が重視されているのに対し,時刻表に記載されているような一般に認知されている輸送時間や直近の輸送時間はあまり重視されていない事がわかった.また,変動が小さい経路では,物流業者が有する平均知覚輸送時間が期待輸送時間を推定する上で最も重要である事がわかった.一方,変動が大きい経路では直近の輸送経験,一般に認知されている輸送時間,最大知覚輸送時間など様々な情報に基づき期待輸送時間が推定されていることが分かった.
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