2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
瀬尾 明彦 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (80206606)
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Keywords | ヒューマンセンタード生産 / 人間生活環境 / 生物・生体工学 / 社会医学 |
Research Abstract |
近年の製造業では,製品設計段階で人体3次元CADモデルなどを用いて,製品の操作時や組み立て作業時の身体負荷を推定する試みが行われている.身体負荷の算出には,関節に生じる負荷を人の姿勢と外力から推定する生体力学的評価が用いられることが多い.しかし外力のうち,人がものに発揮する力である操作力は,ベクトルの向きと大きさの自由度が高いために計算条件が一意に定まらない.そのため実測データの収集が必要となり,評価に時間がかかるなどの問題が生じている.そこで本研究では,操作力データをデータベースとして整備し,簡便な身体負荷推定に寄与するシステムを構築することを目的とした.昨年度は操作方法を大きく4種類に分類し,操作方法ごとに頻度の高い適用場面を選定した.また,モーションキャプチャシステムとロードセルを組み合わせて操作力計測システムを構築した.本年度は,指先での押し操作という位置付けのもと,家電製品などのプッシュスイッチ押下時の操作力を実測した.具体的には,実験条件として,プッシュスイッチの設置高さを身長比の30%から80%まで10%ごとに6条件,操作面の角度を水平から垂直までの範囲で5条件とし,計30条件で計測を行った.そして,プッシュスイッチの設置位置が操作力の向きと大きさに及ぼす影響を調べた.また,操作力と関節への負荷及び主観評価の関係を調べた.その結果,プッシュスイッチの設置高さが低いと操作力が大きくなること,面角度が水平に近いと操作力が大きくなることが明らかとなった.また,操作力の大きさと主観的な操作性が必ずしも一致しないこと,操作姿勢が大きく変化しても最大操作力はIN程度の範囲内で推移することが示された.次年度は,押し操作以外に,つまみや握りといった操作方法のほか,荷物運搬や介護動作など複合的な動作を評価対象として計測を行う予定である
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