Research Abstract |
列車ダイヤに乱れが生じた時には,それを正常に戻すための一連の列車ダイヤの変更(運転整理)が行なわれる。現状では,運転整理はすべて人手で行なわれており,そのために,運転整理を自動的に行なうアルゴリズムが望まれている。しかし,これまでの研究には,・利用者の視点からの評価となっていない,・鉄道ネットワーク全体に対する考慮がなされていない,(3)車両や乗務員などリソースの条件が考慮されていないという問題がある。 これに対して,本年度は,次のような成果を得た。 (1)昨年度までに実施したメタヒューリスティクスとシミュレーションを組み合わせて,利用者の視点からの運転整理案を作成するアルゴリズムにおいて,シミュレーションの速度向上を図った。具体的には,利用者が乗車した列車を推定するための経路探索シミュレーションにおいて,過去の探索履歴を再利用する方法を考案し,従来の旅客1000人に対するシミュレーション平均実行時間約1200秒を,約100秒に短縮するなど,処理時間の大幅な短縮に成功した。 (2)(1)とは異なったアプローチとして,混合整数計画法を用いて運転整理案作成問題を定式化し,利用者の視点から見て最適な運転整理案を作成するアルゴリズムを開発した。従来研究とは異なり,列車の折り返しの変更,列車どうしの支障を避けることへの対応などが考慮されているという特徴がある。本アルゴリズムは,エージェントどうしが共同して全体が納得する運転整理案を作成する上で,個々のエージェントが運転整理案を作るためのアルゴリズムとして使用することを念頭においている。
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