2011 Fiscal Year Annual Research Report
検疫における感染症発症者検知のため非接触スクリーニングシステム構築に関する研究
Project/Area Number |
21510181
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松井 岳巳 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50404934)
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Keywords | 人間工学 / 安全システム |
Research Abstract |
本研究は入国者の感染の有無を5秒以内で診断するためのシステム開発を目的として、厚生労働省・那覇検疫所長(当時)の依頼により開始した。従来は、インフルエンザ患者と健常者を線形判別関数を用いて判別を行っていたが、判別条件が明確でない場合にも判別可能なスクリーニングシステムを開発した。本システムはニューラルネットワークとK-means法を併用し、事前学習なしで判別が可能である。また、従来の手法に加え光学的手法で、血液の酸素飽和度を測定する機能を追加し、これにより、より高い判別精度を達成した。改良を加えたシステムを協力病院でインフルエンザの入院患者に対して試験運用する機会を得た。被検者の顔のサーモグラフィの熱画像を自動抽出し、体表面温度の平均値を求め、同時に計測した心拍・呼吸数、酸素飽和度を併用して、感染症患者と健常者のスクリーニングを行うシステムを実際に試作し、実地運用を行った。システムは体表温測定用のサーモグラフィ、心拍測定用のレーザードップラー血流計、呼吸測定用のマイクロ波レーダーと、酸素飽和度測定センサー、PCによって構成される。自衛隊中央病院の感染症病棟において、インフルエンザの入院患者を対象として、本システムを実地運用した。その結果、本システムを用いて得られた呼吸数、心拍数、体表面温度より、インフルエンザ患者と健常者を判別する関数が得られ、線形判別よりも高い精度で自動判別が可能となった。本システムは、タミフル等の抗インフルエンザ薬を服用し、平熱に戻った患者においても、本システムは高精度に判別可能であった。当初目標に掲げた通り、実用可能なシステムを試作すると共に病院で実地運用を行い、従来より高い精度でインフルエンザ患者と健常者を判別可能であることが検証された。現在本システムは机上に簡単に設置できる大きさまで小型化されており、実用化が期待される。
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