2011 Fiscal Year Annual Research Report
運転者視点による交通視環境評価と安全円滑な平面交差交通システム設計
Project/Area Number |
21510184
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
森 みどり 神奈川大学, 工学部, 助教 (50409900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀野 定雄 神奈川大学, 工学研究所, 客員教授 (80078310)
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Keywords | 交通視環境 / 交通事故 / 交通システム / 視覚情報処理 / 安全人間工学 / カーブミラー / シミュレーション / 映像記録型ドライブレコーダー |
Research Abstract |
本研究を進めるに際し、交差点事故が複合的かつ道路交通環境に起因することに着目した。申請者らは、前年度までに交差点の視環境を定量シミュレーションできる計算機環境を構築し、運転者視界の死角の影響とその改善策を検討した。その結果、死角の情報をカーブミラー等で運転者に適切に提示すれば、出会い頭事故等の不安全状況が大きく改善することが分かった。 本年度はこれらをさらに発展し、安全円滑な平面交差交通設計を目指し以下のような基礎研究を行った。 1.交差点視環境の測定と評価 3次元CG交差点環境シミュレーターを用いて、実路交差点の視環境を再現した。この環境を用いて現状値と数種類の仮想値を設定した交差点ミラーの死角量や横断車の視認性などを定量評価し、直接視界/ミラー間接視界の支配的要因の整理を行った。 2.運転時の運転者の行動戦略の推定 タクシー車載ドライブレコーダーの大量データを分析し、運転者の視認状況と行動戦略を推定した。このことから、車間距離など事故・ニアミス要因と考えられる状況・戦略を抽出し、事故予防に有効な知見を得た。 3.交差点における道路と車両の視環境設計の指針の整理 1,2.の結果から、交差点視環境・運転者視界の評価や安全視界の確保上重要な要因等、交差点通過車両に対する安全性の担保条件を検討した。 4.交差点環境シミュレーターの発展 交差点を含む実道路環境を簡便・忠実に計算機内に再現できるよう、実路データをシミュレーター環境に取り込む機能を組込み、円滑稼働するように調整した。 前述の交差点環境シミュレーターおよび視環境シミュレーション手法は、申請者独自の考案によるもので他に類例がない。当該シミュレーターは、実路での計測なしに、安全かつ厳密定量的に視環境の諸条件を机上検討でき、新規性・有用性に富む。今後は、これまでの知見を整理し、安全視環境実現への設計指針をまとめることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、交差点環境のシミュレーターを構築し、これを用いて交差点視環境の定量的評価を行うことができた。また、実路交差点データを既存の道路データから取得する機能も追加できたので、所期目標については、十分達成できたと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
交差点視環境の評価や安全視界の確保上重要な要因、運転者の行動戦略等に関するこれまでの研究成果をふまえて、今後は、さらに視環境を検討する交差点例を増やすなど、本手法の妥当性を検証する。あわせて、これまでの知見を整理し、安全梶環境実現への基本的な設計指針をまとめることを目指す。また、各地の道路管理者等の実用に供する展開についても検討する。
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Research Products
(4 results)