2011 Fiscal Year Annual Research Report
津波被害の軽減を目的とした植生の実装に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21510187
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
松冨 英夫 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (20134083)
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Keywords | 津波 / 氾濫流 / 植生 / 減災 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実施計画は,(1)海岸黒松の倒伏,抜根,折損の条件の継続的検討,(2)純林域を氾濫する津波の数値解析法の混交林域や複層林域への拡張,(3)樹冠部のモデル化および数値解析法の有用性を検証するための新たな樹木模型(複層林)を用いた水理実験の実施,(4)数値解析に基づく海岸林域を氾濫する津波のパラメタスタディと純林,混交林,複層林の利用指針の提案,(5)2011年東北地方太平洋沖地震津波における海岸黒松の被害実態調査と海岸黒松林の津波減勢効果の検討である. (1)については,既存の現地試験データ,知見,文献の調査ばかりでなく,東北地方太平洋沖地震津波被災後の宮古市田老で現地試験も実施し,海岸黒松の被害条件を検討した.インドネシアで得られたSea Casuarinas(別名CoastalPines)に対する被害条件との比較・検討も行った.この被害条件は海岸黒松林の津波減勢効果をより正確に推定するには是非とも必要である. (2)については,複層林に対して数値解析法の開発を試みたが,計算精度に問題が残された. (3)については,新しい樹木模型を用いた複層林域を氾濫する津波の水理実験を実施し,貴重な実験データを得るとともに,海側樹木には急激的かつ大きな津波流体力が働き得ることを実験的に実証した. (4)については,純林・単層の海岸林の平面分布形状や成長が津波遡上へ及ぼす影響について基礎的な検討を実施したのみに止まった. (5)については,三陸海岸と仙台海岸の黒松の被害実態調査を実施し,簡易な被害条件を提示した.陸上氾濫流速を推定し,抗力やモーメントからみた簡易な被害条件も提示した.さらに,仙台海岸における黒松林の津波減勢への効果と限界例を示した.
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