2011 Fiscal Year Annual Research Report
地震サイクルを考慮した想定地震シナリオの予測方法の研究
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21510190
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関口 春子 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20357320)
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Keywords | 動力学的破壊シミュレーション / 地震シナリオ / 地震動予測 / 累積変位量 |
Research Abstract |
平成24年度は、前年度までに改良を進めた、地震破壊の動力学的シミュレーション方法、および、地震前応力場を地震学的・地質学的知見から推定する方法をもとに地震サイクル計算を構築し、上町断層帯に対して適用する計画であった。しかし、前年度に未解決であった断層面上の不均質応力場の設定方法を改良し、更に、上町断層帯に関する最新の知見を導入する必要があった。そのため、完全なサイクル計算には至らなかったが、それにつながる様々な示唆が得られた。 断層面上の不均質応力場については、同時代の地層のくいちがい量から求めた変位量の不均質分布から平均的な応力降下量分布の長波長成分を推定し、これに波数領域で波数の逆数に比例しかつ空間領域で長波長の不均質分布で重み付けをした不均質を追加することにより、適度な不均質さで破壊伝播するシナリオを実現できた。また、断層面形状は、地層の変形を復元する方法で推定された最新の知見を導入した。動力学的シミュレーションにおいても、破壊開始点の動的パラメータの設定を工夫し、より自然に応力降下を起こすようにした。 平均的な応力降下量分布と広域応力場から初期応力場を推定し、破壊開始点を変えて複数の地震シナリオを作成した。その結果、上町断層帯では、断層面形状と応力場の不均質形状により、中央部付近に破壊伝播が減速する領域が存在することがわかった。破壊伝播の勢いが強い場合はこの領域を乗り越えて破壊が伝播し、弱い場合はこの手前で破壊が止まった。断層の北部で破壊が開始する場合は断層面全体が破壊するケースが多く、南部で破壊が開始する場合は南部だけに破壊がとどまるケースが多かった。また、地震シナリオの応力降下量は地震前後の応力場の絶対値に比べとても小さく、応力分布の大枠はそれほど変化しないことがわかった。このことから、次に想定される地震シナリオのパターンも大きくは変動しない可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)