| Research Abstract |
現在公表されている多くの地震動予測地図における予め震源を特定できない地震について,活断層から発生する地震の長期評価や強震動評価のように決定論的な規模や発生確率を予測することができない.一方で,Gutenberg-Richterの関係で代表される統計的な考えを適用するための,地震データを地域的に区分する地震地体構造区分図(例えば,垣見ほか,2003)は,地震地体構造の中で大構造に着目しており,震源域がおよそ20km程度の予め震源を特定できない地震の評価とは空間スケールとして齟齬がある可能性があった.また,地震地体構造区の設定においても,主親的に決められている部分もあり,地震統計に寅する客観的な尺度に基づく地震地体構造区の設定と考察は大きな課題であった.
そこで本研究では,これらの問題を解決する方法として,地震に関連すると考えられるデータを用いた定量的な区分を行うことを目標とし,昨年度に引き続き地理情報システムを用いた検討を行った.そのために,震源・活断層・重力異常データから主成分分析に用いるパラメータをプログラムを作成し,計9種類のパラメータを国土地理院の定める2次メッシュごとに計算し,それらのデータから主成分分析を行った.さらに,新たな工夫として,地震地体構造区分に関すると思われる主成分を取り出して,その主成分得点分布図から区分を行うことだけでなく,判別分析手法を適用することも試みた.
その結果得られた震源データと活断層データという,過去の地震活動そのものの活動の大きさを表す「地震活動の活動度」を判別分析することにより,新たな地震地体構造区を設定し,さらに,活断層の長さの規模別頻度分布図の直線性の検討から,予め震源を特定しない地震の規模について,歴史地震記録による結果との比較を行った.
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