2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510192
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木下 繁夫 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (90360015)
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Keywords | 地震 / 傾斜運動 / 推定・識別問題 |
Research Abstract |
当該年度は本研究課題の最終年度であり、まとめの作業を行い以下の結果を得た: (1) 傾斜運動を定量的に扱う上で必要となるモデルとして、本研究では加加速度領域でのデルタ関数列を提案する。従って、傾斜運動は、個々のデルタ関数の発生時と大きさに依存する速度応答を適当な周波数帯域で同定できれば、定量化が可能となる。 (2) (1)で述べた周波数帯域として、局所的な傾斜運動の場合は、所謂広帯域速度観測の帯域が一つの候補となり、断層運動に付随する傾斜運動の場合は周波数帯域を速度領域でほぼDCまで拡げる必要がある。 (3) 2011年東北地方太平洋沖地震は断層運動に付随する傾斜運動が上記の方法で確認された。これは、日本列島の東北から関東地域の太平洋側に設置されたKiK-netの地中強震記録に基づく解析結果である。この結果は、太平洋沿岸での静的変位の発生と伝播の様子を明らかにするとともに、GPS観測の結果とも調和的な結果が得られることを示した。 (4) (3)は加速度強震観測に基づくものであるが、広帯域速度観測でも同様な結果が導かれることを新たな方法により示した。即ち、広帯域速度記録の低周波数域での補償とトレンドの推定に関する方法の提案であり、その実用性をF-netの広帯域記録で実証した。
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Research Products
(4 results)