2010 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原硫黄島の詳細な段丘編年と地殻変動観測による火山活動の解明
Project/Area Number |
21510193
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Research Institution | Geospatial Information Authority of Japan (Geography and Crustal Dynamics Research Center) |
Principal Investigator |
今給黎 哲郎 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理地殻活動総括研究官 (60370805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中埜 貴元 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理情報解析研究室, 研究官 (60511962)
佐々木 圭一 金沢学院大学, 美術文化学部, 准教授 (50340021)
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Keywords | 隆起活動史 / 火山編年 / ^<14>C年代測定 / 全岩分析 / 主成分分析 / 漂着軽石 / 地殻変動 |
Research Abstract |
地形・火山地質調査に加えて,採取試料および関係機関から提供を受けた試料の分析とそれらに基づく過去の噴火時期の検討を行った.現地調査で採取したサンゴ化石礫や炭化木片,火山噴出物(溶岩,軽石等)の試料について,14C年代測定や全岩分析,火山ガラスや斑晶鉱物の主成分分析,炭化木材の樹種同定および堆積物の磁化方位(堆積残留磁化)測定を実施した.結果として以下のような知見が得られた.1)H段丘面上の段丘礫層中のサンゴ,釜岩のペペライト中のサンゴ礫および摺鉢山東岸の段丘礫層中のサンゴ礫の14C年代は,これまでの年代値と整合的であり,H段丘面の発達時期が従来提唱している350~500cal.BP頃であること,旧期摺鉢山の活動期が500~600cal.BPであることを裏付ける結果が得られた.2)北ノ鼻の海岸段丘基部の元山凝灰岩層中から採取した大きな径の炭化木材の樹種については,トウダイグサ科に似た散孔材の道管配列を持つ熱帯性の広葉樹であることがわかったが,樹種までは同定できなかった.3)年代推定試料が得られていない島内各地の堆積層について過去の地磁気の方向を示す堆積残留磁化(DRM)を測定した結果,類似した環境で堆積したと考えられている釜岩海浜堆積層と金剛岩下最下位の海浜砂層は異なる磁化方位を示し,異なる時期に堆積したと推定された.4)全岩分析および火山ガラス主成分分析の結果,沖縄の遺跡で見いだされる漂着軽石(BLスコリア)は,硫黄島および福徳丘ノ場の軽石の過去の分析データから,摺鉢山起源の火山岩組成グループに属することがわかった.また,元山南海岸において海岸付近の段丘上に見いだされた緑色漂着軽石が,二ッ根の岩塔を構成する軽石に対比出来ることがわかった.BLスコリアは,付着しているサンゴ化石の14C年代から1,400年前より古い時代に漂流した軽石と考えられており(加藤,2009),500年前と考えられる摺鉢山活動期より以前に,摺鉢山付近から,沖縄まで到達するような多量な軽石を噴出する大規模な火山活動があったことが推定された
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Research Products
(1 results)