2009 Fiscal Year Annual Research Report
微動測定に基づく市街地での地震被害率推定法に関する研究
Project/Area Number |
21510198
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 寿朗 Waseda University, 理工学術院, 教授 (80329086)
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Keywords | 地震動 / 地震被害 / 被害予想・分析・対策 / 地震防災 / 微動測定 / 表層地盤構造 / 地盤の非線形性 / 地震観測 |
Research Abstract |
本研究においては,高密度の微動測定を用いて表層地盤の不整形性を,地震観測記録を用いて地盤のひずみ依存性をモデル化し,市街地各地点での大地震の地表地震動ならびに地震被害率を推定する方法の開発を目的としている.具体的には石川県穴水町をテストサイトとし,2007年能登半島地震を対象とした検討を行っている. 穴水町では市街地および岩盤上での本震および余震記録が得られており,これらを用いて市街地直下の入力地震動を推定した.また,既実施の60点ほどでの微動測定結果よりH/Vスペクトルを求め,代表的な地盤調査結果を援用して工学的基盤深度を推定するとともに,市街地観測点での時間区間ごとの卓越振動数と有効ひずみから評価された弾性定数のひずみ依存性を反映して,上記入力に対する被害集中域での地震動を推定した.地震動推定においては2次元地盤モデルに有限要素法を適用しており,推定される地中段差構造付近でのH/Vスペクトルの変化のシミュレーションがおおよそ可能であるとともに,明瞭な段差構造により2次元的効果だけでも10%程度の地震動の増大があり,局部的な被害の集中につながった可能性を明らかにした. 穴水町全域での被害分布の説明のために多点での微動測定を行う必要があり,2009年度は科研費補助金および学内研究費により微動測定機器を7セットまで充実し,2009年9月に大学院生等の研究協力者を含む7人での5日間の測定により170点余りの微動測定結果を得た.それらのH/Vスペクトルの卓越振動数から工学的基盤を推定したところ,既往の測定結果より推定した市街地被害集中域直下の段差構造の形状がより明瞭になったのみならず,飛び地的被害を示した穴水中学校近くでの同様な形状の段差構造の存在が推定され,これらを含む穴水町のおおよその表層地盤構造モデルが構築された.
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