2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510204
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 邦夫 Kobe University, 理学研究科, 准教授 (40252415)
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Keywords | ゲノム発現 / スプライシング / エキソン / イントロン / スプライス部位 / U1 snRNP |
Research Abstract |
真核生物遺伝子を分断化するイントロン配列は、RNAスプライシングによって除去される。スプライシング初期過程において、U1 snRNPは5'スプライス部位の認識に不可欠である。これに対し、本研究では、U1 snRNPに依存しない新規スプライシング反応の分子メカニズムを明らかにするとともに、これまで見過ごされてきたU1非依存的にスプライシングされる遺伝子群を探索し、この機構の一般性を検証するとともに、U1非依存的スプライシングの生理的な役割に光を当て、ゲノム情報発現における意義を解明することを目的とする。 ヒトF1γ遺伝子の第9イントロンにはU1 snRNPが結合せず、U1 snRNPに依存しないスプライシングが行われている。これに対し、5'スプライス部位の配列を保存配列に置換すると通常のU1依存型スプライシングとなった。選択的スプライシング制御因子Fox蛋白質は第9イントロンの抑制によって第9エキソンのスキッピング誘導を行う(Fukumura et al., Nucleic Acids Res., 2007)が、第9イントロンをU1依存型に置換した場合にはFox蛋白質による誘導が行われなくなった。また、第9イントロンの5'スプライス部位配列に相補的な配列を持つサプレッサーU1 snRNAを強制発現した場合にも、Fox蛋白質による制御が阻害された。これらのことから、ヒトF1γ遺伝子におけるU1 snRNPに依存しないスプライシングは、Fox蛋白質による選択的スプライシング制御に必須なことが明らかとなった。
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