2009 Fiscal Year Annual Research Report
非閉塞性無精子症(NOA)Y染色体における構造異常の検出及び関連解析
Project/Area Number |
21510211
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
崔 泰林 Tokai University, 医学部, 奨励研究員 (80535229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ上 逸朗 東海大学, 医学部, 教授 (00192500)
田嶋 敦 東海大学, 医学部, 助教 (10396864)
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Keywords | 非閉塞性無精子症 / 微小欠失 / CGHアレイ / Azoospermia(AZF) |
Research Abstract |
不妊症は既婚カップルの約10~15%も占めており、社会的にもその病態解明が急がれる重要な疾患である。また、体外受精や顕微授精を中心とした生殖補助医療は、細胞工学技術や遺伝子工学技術を応用した21世紀型医療であり、深刻な日本の高齢、少子化社会への貢献は益々大きくなっている。しかし、男性不妊症、特に成熟精子を全く有しない非閉塞性無精子症は現在でも、その病態が殆ど解明されておらず、不妊治療の大きな障壁となっている。 Y染色体上には3つのAZF(Azoospermia factor)領域-AZFa、AZFb及びAZFcがあり、精子形成に関わる候補遺伝子が多く集中しているが、Palindrome構造(8個)やRepeat配列が多く、相同組み換えによる微小欠失(Microdeletion)が頻繁に行われる。Y染色体微小欠失(Microdeletion)と乏精子症や無精子症との関連には注目すべきであるが、その構造異常の検出方法、部位、大きさなど幾つかの問題点がある。結果として、検出された構造異常の殆どは、精子形成に関わるとされる遺伝子群が集中しているAZF領域であり、比較的にサイズが大きい(数百800kb~7Mb)。また、その欠失領域には複数の遺伝子が含まれているので不妊症との関与は容易に予想できるものの、複数遺伝子の欠失であるため病態機構との関連は捉えにくい。すなわち、検出された欠失領域に含まれている複数の遺伝子の中から無精子症の原因となる遺伝子を見極めるのは困難である。したがって、いかに不妊症関連遺伝子の同定に繋がるようなMicrodeletionsを検出するかは大変重要になってくると考える。 そこで本研究では、Y染色体を網羅したアレイCGHを独自に作成し、72人の非閉塞性無精子症Y染色体の構造異常を網羅的にスクリーニングすることにより、遺伝子領域に局在している比較的サイズの小さい微小欠失を検出し、無精子症原因遺伝子の同定を試みた。その結果、AZFa,AZFb及びAZFaとAZFbの間の領域において4つのる微小欠失(5~50kb)が検出された。その内の二つの微小欠乏は、それぞれUtyとBcorl2遺伝子領域に局在しており、非閉塞性無精子症との関連について、現在機能解析やその遺伝子領域内のmutation screen等を進めている段階である。
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Research Products
(3 results)