2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハテルマライド類をシーズとしたメドケム指向型構造活性相関による機能性分子の創製
Project/Area Number |
21510221
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
早川 一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (20375413)
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Keywords | ハテルマライド / ビセライド / 構造活性相関 / 細胞毒性 / メディシナルケミストリー |
Research Abstract |
ハテルマライド類,およびビセライド類は沖縄産海綿またはホヤより細胞毒性物質として単離された一連のマクロライド群である.申請者は,これらの化合物の細胞毒性パネル試験を検討し,ハテルマライドNA,NAメチルエステルおよびビセライドA,Bは腫瘍細胞の増殖を市販の抗癌剤であるシスプラチンよりも強力に阻害することを見出した.これまでに申請者はハテルマライドNA,Bの全合成を達成し,その合成経路を基盤として人工類縁体の設計・合成を行い,生物活性評価を検討した.その結果,ハテルマライド類の強い細胞毒性には,エステル部分を改変しても細胞毒性には影響せず,マクロラクトン環と側鎖部分の組み合わせが重要であることを見出した.この知見を基に,構造をより単純化したハテルマライド類の人工類縁体の開発を目指し,本年度は脱クロロ体を設計・合成を行った.その結果,クロロ基を除去すると,化合物が不安定になることが明らかになった.このことからハテルマライド類はクロロ基のI効果によって安定化されていると考えている.本構造活性相関研究により,ハテルマライド類の強い細胞毒性にはクロロ基の存在が必須であることがわかった. また,構造活性相関の一環としてビセライドB,Eの合成を実施した.これまでC20位に酸素官能基を導入する反応が低収率であったが,反応経路を見直すことにより大幅に改善することができた.現在改良合成経路を基にビセライドB・Eの合成を検討している.
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Research Products
(34 results)