2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規C末端ペプチド単離法に基づくプロテオーム解析法の実用化
Project/Area Number |
21510225
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中沢 隆 奈良女子大学, 理学部, 教授 (30175492)
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Keywords | タンパク質 / プロテオミクス / 質量分析 / アミノ酸配列解析 / 安定同位体標識 / ペプチドの分離 / イオン交換クロマトグラフィー / 文化財科学 |
Research Abstract |
本研究は簡単で高感度のタンパク質のカルボキシル末端(C末端)ペプチドの単離とそのアミノ酸配列解析法の完成によって、近い将来プロテオミクスの進展の障害になると危惧されるタンパク質の同定に関する技術的困難の解決を目指す。平成22年度までの研究で、既に当初の計画であるタンパク質中の全カルボキシル基のアミド化と、その酵素消化物の強塩基性陰イオン交換体(SAX)を用いる分離に基づくタンパク質のC末端ペプチドの濃縮法の実用化は達成の目処がついた。現在、SAXカラムで濃縮したC末端アミド化ペプチドのタンデム(MALDI-TOF/TOF)質量分析法によるアミノ酸配列解析実験を行っている。この実験の過程で、ペプチド中のアルギニンのグアニジノ基とN末端アスパラギン酸のカルボキシル基の存在によって複雑なMALDI-TOF/TOFスペクトルを与えるためにアミノ酸配列解析が困難となる問題が発生したが、前者については含水ヒドラジンによる脱グアニジノ反応を開発することで解決した。この研究成果は11.研究発表にあげたKuyama(連携研究者)らの論文で公表した。さらにN末端アスパラギン酸のカルボキシル基に関する問題については、C末端の^<18>Oによる安定同位体標識法を研究する過程で、塩基触媒による脱炭酸反応を見いだし、現在その反応機構と反応効率の向上を目指す実験を行っている。以上のように、平成22年度は前年度に確立された方法論を実用化するために必要な個別の問題点の解決に取り組み、その一部について解決策を見いだした。また、研究成果は膠のコラーゲン,絹のフィブロインやセリシンなど文化財に含まれるタンパク質の同定に適用し、考古・古代学にも有用であることを実証した。
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Research Products
(4 results)