2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮増殖因子受容体に対する低分子量基底膜蛋白質AZ-1の阻害機構
Project/Area Number |
21510229
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
向井 邦晃 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80229913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 芙美子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60041852)
西本 紘嗣郎 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (00365363)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生体分子 / 生理活性 / 蛋白質 |
Research Abstract |
本年度においては、2種のVEGF受容体(Flt-1とKDR)とAZ-1の相互作用について解析した。精製されたFlt-1とKDRの細胞外領域を固相化して蛋白質問結合アッセイを行ったところ、精製AZ-1は濃度依存的に固相化Flt-1とKDRに結合した。これらの結合に対する可溶性因子VEGFの影響を調べたところ、Flt-1へのAZ-1の結合はVEGFにより変化しないが、KDR-1へのAZ-1の結合はVEGFの存在に顕著に増加した。この結果は、Flt-1へVEGFが結合してもFlt-1は構造変化しないが、KDRへVEGFが結合するとKDRは構造変化して、AZ-1との結合能を高めることを示唆する。KDRは内皮細胞において、インテグリンαVβ3と細胞表面上で複合体を形成して、VEGFに対する内皮細胞の接着・伸展、増殖などの応答性に重要な役割を持つことが判明している。昨年度までに、AZ-1はインテグリン及びインテグリンのリガンドである細胞外マトリックスとの結合能により、内皮細胞の接着・伸展を制御することが判明している。本年度得られた結果は、AZ-1が、VEGF依存的にVEGF-KDR複合体へ結合する因子であることを示す。これらの結果から、AZ-1は、多価相互作用能を持つ細胞外因子として、VEGF-KDR-インテグリンαVβ3-細胞外マトリックス蛋白質から構成される複合体へ参加することによって、新たな細胞外因子として細胞の応答を制御することが示唆された。ここで推定された細胞の応答制御のスキームは、コラーゲンゲルにおいて内皮細胞がVEGF依存的に管腔形成する現象に対して、AZ-1が阻害効果を示したことをよく支持する。
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Research Products
(14 results)