2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物天然物代謝の柔軟性の基盤解析とマメ科モデル系の生合成エンジニアリング
Project/Area Number |
21510233
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
綾部 真一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40050679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊夫 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80287606)
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Keywords | 植物天然物 / 生合成 / 酵素 / 遺伝子 / シオン / ミヤコグサ / フラボノイド / トリテルペノイド |
Research Abstract |
植物天然物の構造の多様性の要因を生合成構造遺伝子の重複による酵素機能の変化の観点から探り,その植物生理的意義を実証するため次の研究を行い,一定の理解の進展を得た。 生合成酵素の構造と反応特性の解析:これまでに特異なトリテルペンケトンを与えるキク科シオンのオキシドスクワレン環化酵素・シオノン合成酵素cDNAが得られている。今回酵母発現系を利用した複数の生成物の詳細な同定,RT-PCRによる器官特異的発現および分子系統解析を行い,1960年代の高橋武美らによる生合成仮説に示された反応を行う,β-アミリン合成酵素ファミリー中限られたキク科植物で進化を遂げた酵素の実体を明らかにした。またマメ科モデル植物ミヤコグサから得られたフラボノイド合成系のフラボノール合成酵素(FLS),フラバノン-3-ヒドロキシラーゼ(FHT)の複数のcDNAについて,大腸菌リコンビナント系で触媒機能を解析し,2種のFLSがフラバノンからフラボノールに至る2段階の反応を行う多機能性酵素であることや,基質フラバノンの立体異性体に対する反応性や生成物構造の多様性に関する知見が得られた。 二次代謝遺伝子改変植物組織による解析:マメ科特異型(II型)及び非特異型(I型)カルコン異性化酵素をノックダウンしたミヤコグサ毛状根培養の成分を解析し,II型はもとよりI型の抑制もマメ科に特徴的な5-デオキシ(イソ)フラボノイド経路に影響を与えることを見出した。FLSの過剰発現毛状根の解析では,フラボノール生産には光照射が重要であることがわかり,また形質転換によって生産量が変化する未知物質の存在が明らかになった。さらに地上部付きの形質転換毛状根(コンポジットルート)への根粒菌感染実験により,FLS,FHTの過剰発現・発現抑制と根粒形成効率に密接な関連が示されたので,代謝物変化と共生の関係を解析している。
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