2011 Fiscal Year Annual Research Report
スキー場を活用した半自然草原の保全・再生のための植生学的研究
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21510244
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
澤田 佳宏 兵庫県立大学, 大学院・緑環境景観マネジメント研究科, 講師 (40435897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 道郎 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (80250158)
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Keywords | 生物多様性保全 / 半自然草原 / 里地里山 / 自然発生 / スキー場植生 |
Research Abstract |
スキー場を活用した「半自然草原の保全と再生」の可能性を検討するため,(1)良好な半自然草原(草原生の絶滅危惧種を含むススキ草原)を維持しているスキー場の分布およびその自然的/社会的な条件の把握,(2)好ましくない植生(牧草優占)をもつスキー場における半自然草原の再生手法の開発,の2点を目的として,兵庫県北部の3つのスキー場(A,B,C)において植生調査とフロラ調査を実施し,旧版地形図や空中写真の判読と聞き取り調査により植生と管理の来歴を調べた. 目的(1)の「良好な半自然草原が成立し維持される条件」として,スキー場開設以前にも草地として利用されていた場所であること,かつ,重機による造成(地形改変)をうけていないことの2点が必要であることがあきらかとなった.森林由来のスキー場Cでは草原生植物の種数が少なく,絶滅危惧種は含まれなかったのに対し,草地由来のスキー場AおよびBでは,多様な草原生植物が生育し,絶滅危惧種が数種ずつ含まれていた.ただし,全面的に重機による地形改変をうけているスキー場Bでは,絶滅危惧種は特定の局所に分布しているのみで,植生としての広がりがほとんどなかった.一方,未造成部分の多いスキー場Aでは,その範囲に良好な植生がひろがっていた.管理内容(草刈りや火入れの時期・頻度)と植生の関係については,スキー場Aでカヤ場と同様の管理が行われていることがわかったが,この管理が必須のものかを判断するには,より多くのスキー場において調査を実施する必要がある.雪面硬化剤と草原植生の関係についても十分な答は得られず,今後の課題となっている. 目的(2)の「スキー場における半自然草原の再生手法」については,実験が大幅に遅れ,現段階では十分な知見は得られていない.今後も実験および調査を継続し,再生手法を確立する必要がある.
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Research Products
(1 results)