2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510246
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
草桶 秀夫 Fukui University of Technology, 工学部, 教授 (50169976)
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Keywords | ゲンジホタル / 生物多様性 / 遺伝的多様性 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
これまでの我々の研究では、ゲンジボタルのND5遺伝子の塩基配列(909bp)に基づき、ハプロタイプグループは分布域の異なる4つの地域に分けられた。ホタルの保護や保全活動を行う場合、限定された地域における遺伝的多様性と地域集団の遺伝的分化について調査することが望まれる。そこで福井県の4つの一級河川水系をモデル系として、これらの河川水系に生息するゲンジボタルの遺伝的多様性と遺伝的分化について調査した。その結果、90個体から25のハプロタイプが見出された。25のハプロタイプのうち福井県にはHap_1,Hap_2,Hap_20の3つのハプロタイプが多く分布した。4つの一級河川水系のいずれにおいても、4個から6個のハプロタイプが見出され、その存在頻度が各水系で異なった値を示した。また、各水系での生息地の塩基多様度およびハプロタイプ多様度を調べたところ、塩基多様度は低い値であったが、ハプロタイプ多様度は、高い値を示した。これらの結果は、ゲンジボタルが一級河川水系域において高い遺伝的多性をもつことを示唆している。 ハプロタイプネットワークを作成したところ、嶺北地域と嶺南地域では大きな分岐が認められた。さらに、分化度合いを示すペアワイズ固定指数(Fst値)が嶺北地域と嶺南地域との間では高い値を示したことからこれらの地域間では遺伝的分化が進んでいることを示唆した。これらの結果から、福井県の嶺北地域と嶺南地域のゲンジボタル間には、遺伝的集団構造が異なることを示唆している。嶺北地域の3つの河川水系間には、大きな遺伝的分化は認められなかった。
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Research Products
(7 results)