2009 Fiscal Year Annual Research Report
雲南少数民族の生活経験の変化―解放後中国の社会変化をラフ族住民はどう生きたか
Project/Area Number |
21510257
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西本 陽一 Kanazawa University, 人間科学系, 准教授 (00362012)
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Keywords | 少数民族 / 雲南 / 中国 / ラフ族 / 人類学 / 生活 / 社会史 |
Research Abstract |
1949年の中華人民共和国成立(「解放」)以来、1950年代後半からの集団化と1960年代後半からの文化大革命、1980年代からの改革開放路線となど中国社会は何度も大きな社会変化を経てきた。本研究は、このような中国の政策・社会変化の中で、中国西南端の雲南省に居住する少数民族ラフ(拉〓)族は、その生活がいかなる影響を受け、どのような変化を遂げてきたかを、文献研究とフィールドワークから明らかにするものである。より具体的にはラフ族住民への民族語(ラフ語)による聞き取りをもとに、人びとの生活史を再構成し、住民がそれらを生活レベルでどのようにとらえ、どのように対応してきたかを再検討する作業をおこなう。 本研究は(1)中国の国家政策および民族政策の検討、(2)各時代における少数民族ラフの生活の変化の調査研究、(3)ラフ族住民による自らの過去についての語りに反映される周縁民族の社会的経験の検討の三点を軸に展開してゆくものであるが、平成21年度には(1)と(2)を中心として、日本および中国において、解放後中国の国家政策および民族政策の変遷に関わる文献と資料を収集し、分析を進めた。またこれと平行して12月に5日間のフィールドワークを中国雲南にて実施した。平成21年度後半は、フィールドワークによって得られた、(1)ラフ村落生活全般、(2)ラフ族の村落祭祀の変化、(3)ラフ族の村落生活の変化、(3)ラフ族住民の民族間関係における自他認識についてのデータ整理を開始し、平成22年度の中間報告書作成の準備を始めた。 研究成果の公表については、これまでのデータをもとに7月に国際学会で英語による発表をおこなった。さらに、雲南民族大学と協力して、雲南少数民族についての国際シンポジウムを開催し、日中二言語版の報告書に纏めた。
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