2010 Fiscal Year Annual Research Report
生産者主導型フェアトレードによる村落開発モデルの実証的研究
Project/Area Number |
21510260
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
|
Keywords | フェアトレード / バニラ / 東アフリカ / 東南アジア / 開発実践 |
Research Abstract |
2011年2月および2012年3月(繰越分)にタンザニアでの現地調査を実施し、カゲラ州のモデル農村におけるバニラ農家組合の活動状況および加工施設の稼動状況をモニタリングして、生産量と品質の安定化のための方策を協議した。栽培農家にとっては、原料であるバニラ豆の買取価格が生産量や出荷先を選択する最大の要因であることから、他の集荷業者よりも有利な価格を提示することで、組合に参加する栽培農家数や集荷量は増加したことが認められ、農家に対する栽培指導、組合による加工技術の向上も順調に推移していることが確認された。また、製品を日本に輸出するための現地側の諸手続を進めた。 一方、日本国内においては「生産者主導型フェアトレード」を実践するための流通・広報機能をもつ組織(NPO)を設立する準備を進め、活動を紹介するwebサイトの整備を行った。また個人や製菓業者などの国内ユーザの需要形態を聞き取り調査し、サンプル配布と販路開拓を進めた。製品の品質が良好でありかつ一般流通品よりも安価であることから、一般に低品質で高価であると認識されるフェアトレード商品とは異なる、生産者と消費者双方にとって真に「フェア」な取引が可能となるばかりでなく、生産者や生産地に関する詳しい情報を提供することで製品に付加価値を与え、貧困や環境破壊といった消費者の「アフリカ」に対する画一的なイメージを拭い、地域の環境や社会的背景も含めた国際理解の進展に寄与しうることが示された。 また、新たなバニラ産地としての可能性を検討しているベトナム中部において、山間部村落におけるホームガーデン利用の多様化の一環として導入した農家5軒での生育状況を調査し、少量の収穫物を用いたキュアリングを試行的に実施したところ、良質な製品が得られることが判明した。
|