2011 Fiscal Year Annual Research Report
生産者主導型フェアトレードによる村落開発モデルの実証的研究
Project/Area Number |
21510260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
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Keywords | フェアトレード / バニラ / 東アフリカ / 東南アジア / 開発実践 / 国際協力 |
Research Abstract |
研究最終年度である本年は、これまでに構築した生産者側(栽培・加工)および国内(流通・広報)組織の機能強化と活動モニタリングを中心に、「生産者主導型フェアトレード」の実践的展開とその効果評価を行った。 2011年6月には、タンザニアからバニラ農家組合の責任者およびソコイネ農業大学の連携研究者を1週間日本に招へいし、流通現場の視察、消費者との情報交換・交流を通じて生産者と消費者の相互理解を深めた。 2012年3月にはカゲラ州のモデル農村におけるバニラ農家組合の活動状況および加工施設の稼動状況、参加農家の栽培・生計状況をモニタリングし、フェアトレードによる村落開発モデルの効果評価を行った。バニラの国際取引価格が大きく変動する状況下で、加工・輸出業者が利益を確保する一方で原料生産農家は買取価格の下落により経済的損失や生産意欲の低下が見られる中、小規模な直接取引を前提に買取価格と品質の水準を保障できるマイクロトレードは、農家の生計向上に大きな役割を果たすことが明らかとなった。これらの成果を、米国Law and Development学会において発表し、論文および書籍の1章として刊行した。 また、バニラの新規導入を進めているベトナム・フエ省の山間部および平野部農村における栽培・加工の普及と品質向上の取り組みを、フエ農林大学の協力のもとで進めた。山間部のHong Ha村においてはホームガーデンにおける生育状況のモニタリングと農家によるキュアリングの品質評価を行い、世帯によって栽培への関心や管理の水準は異なるものの、おおむね良好に生育することが明らかとなった一方、12月からの収穫・加工期の気候が低温多湿であるため、キュアリング手法の改善が必要であることも示唆された。平野部のHuong Van村では、フエ農林大学の農場内に試験圃場を設置し、集約型バニラ栽培の可能性を今後継続的に検討することとした。
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