2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510262
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
貞好 康志 神戸大学, 大学院・国際文化学研究科, 准教授 (20314453)
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Keywords | 華人 / インドネシア / 生育地ナショナリズム |
Research Abstract |
1.ポスト・スハルト期の華人知識人の言説に関する論考の後篇(裏面参照)を執筆・刊行した。前篇でとりあげた「華人性」(華人の集団性や文化的独自性)の尊重に重点を置く論客のみならず、基本的人権や法の前の平等・民主主義など「普遍的価値」の実現を目指す新世代の知識人・活動家たちが、やはり「生まれ育った地インドネシア」への場所愛や国民国家インドネシアという枠組みを前提として思考・行動していることなどを実証した。 2.当研究を土台とする博士論文の執筆を進めた。4月24日の学会発表(裏面参照)で、華人の生育地主義ナショナリズムから派生した面と、スハルト体制独自の論理から生じた面を併せ持つ「華人同化主義」について、植民地期からポスト・スハルト期までの思想系譜を論じた。 3.上記1、2(論考執筆)を優先するため、夏期に予定していたオランダでの調査は来年度に延期した。代わりに、2月22日~28日の1週間、台湾(中華民国)での現地調査を実施した。台北および台南市でインドネシア出身の華人留学生と面談、聴き取り調査を行なった結果、彼らがナショナル・アイデンティティの面ではインドネシアをほぼ揺るぎない基盤としつつ、今後の人生の展開の上で有用なスキルとしての中国語を含め、知識・技能や経験、人的ネットワークの獲得を求めて、台湾に留学しているらしいことが判明した。
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Research Products
(3 results)