2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510262
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
貞好 康志 神戸大学, 大学院・国際文化学研究科, 准教授 (20314453)
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Keywords | 華人 / インドネシア / 生育地ナショナリズム |
Research Abstract |
1.海外研究調査(1):昨年度から延期していた欧州での調査を夏季休暇中に実施した。オランダでは主として王立地理言語民族学研究所(KITLV)、英国では主に大英図書館(BL)で植民地期以来の文献資料収集を行なった。オランダでは、1950~60年代にインドネシアから移住(亡命)した華人数名にインタビューを行なった。政治亡命した人など、当時のインドネシア政府には怨恨の念を抱いているとしても、生まれ育ったインドネシアの地そのものにはいまだに望郷や愛着の情を持っている場合が少なくないことを確認できた。 2.海外研究調査(2):冬季休暇中にインドネシアでの最終補足調査を実施した。定点観測地である中部ジャワ・スマランのほか、東ジャワのスラバヤなど幾つかの都市で、華人コミュニティの歴史や個人のライフヒストリーについて聴き取り調査を行なった。首都ジャカルタでは、国立図書館や国立統計局を中心に文献資料を収集した。 3.これまで収集した文献・聴き取り資料を活用して、幾つかの論考を執筆・発表した(裏面参照)。このうち、「インドネシア華人のコミュニティ団体の変容」と題する論文は、中部ジャワの州都・スマランの華人社会で最も古い葬祭互助・芸能団体の一つ和合会の設立期(20世紀前半)について、従来は新参の移民(トトック)中心の組織と考えられていたのに対し、実は当初から、代々インドネシアに住みマレー語を母語とする華裔(プラナカン)中心の組織であった事実を、植民地時代の定款など物的資料や関係者の聴き取り調査を通じて明らかにした。このほか、生育地ナショナリズムの展開を一つの軸とする博士論文を完成させ、学位を得ることができた。
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Research Products
(7 results)