2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済開発とローカル・イニシアティブーコロンビア紛争地域の農民運動研究
Project/Area Number |
21510270
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
幡谷 則子 Sophia University, 外国語学部, 教授 (00338435)
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Keywords | ローカル・イニシアティブ / 農民運動 / 社会学 / グローバル開発 / 市民社会 / オルタナティブな開発 |
Research Abstract |
本研究は、コロンビアの紛争地域における住民の生活と自然環境が、近年のバイオ燃料開発や鉱物資源開発などの多国籍開発プロジェクトによってどのような変容をとげているか、またこのようなグローバル経済開発との共存をめざす農民組織・鉱山民組織の活動が、彼らの尊厳ある生活基盤の確保と経済自立化につながる可能性と問題点を明らかにすることをめざしている。3ヵ年の研究計画に掲げた3つの課題:1) コロンビアの国家経済開発と多国籍企業進出の実態、2) マグダレーナ川中流域とアトラト川中流域の社会経済史、3) 両地域における農民組織の形成過程・活動内容とその特徴について、本年度はそれぞれの課題の基本的データ収集とその分析に集中して行った。平成21年7月26日から8月23日まで、約1ヶ月のフィールドワークをコロンビアにおいて実施し、首都ボゴタにおいて、経済開発関連政府機関(国家企画庁、農業省、鉱山・エネルギー省)において現政権の開発計画の概要と、油やし生産拡大、金、石炭その他の鉱山資源開発計画について基本的資料の収集と、政策策定担当部署におけるヒヤリングを行った。コロンビア政府が、新しいマクロ経済の牽引部門として鉱山資源開発を設定していること、同国の埋蔵量は今日のグローバル経済開発において極めて競争力が高いことが明らかになった。二つの紛争地域における農民・鉱山民の組織と運動については、チョコ県のアルト・デ・サン・ファン地域における伝統的零細金鉱採掘業者組織(ASOCASAN)の「環境に優しい金採掘(グリーン・ゴールド)プロジェクト」について、実態調査を行い、組織リーダーおよび支援NGO代表へのインタビュー調査を行った。元紛争地域で、行政サービスも乏しいこの地域で、オルタナティブ開発プロジェクトに独自の社会保障システムが組み込まれているどいう極めて興味深い事実が明らかになった。この成果の一部は、『世界の社会福祉年鑑2009』(担当章「コロンビア」)に反映させている。
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Research Products
(1 results)