2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済開発とローカル・イニシアティブ―コロンビア紛争地域の農民運動研究
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21510270
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
幡谷 則子 上智大学, 外国語学部, 教授 (00338435)
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Keywords | ローカル・イニシアティブ / 農民運動 / 社会学 / グローバル開発 / 市民社会 / オルタナティブな開発 / 資源開発 / 土地問題 |
Research Abstract |
本研究は、コロンビアの紛争地域における住民の生活と自然環境が、近年のバイオ燃料開発や鉱物資源開発などの多国籍開発プロジェクトによってどのような変容をとげているか、またこのようなグローバル経済開発との共存をめざす農民組織・鉱山民組織の活動が、彼らの尊厳ある生活基盤の確保と経済自立化につながる可能性と問題点を明らかにすることをめざした。3つの課題:1)コロンビアの国家経済開発と多国籍企業進出の実態、2)マグダレーナ川中流域とアトラト川中流域の社会経済史、3)両地域における農民組織の形成過程・活動内容とその特徴について、最終年度である本年度は、課題3)のうち、昨年度天候状況や調査対象組織内の受け入れ状況における困難性によって実施が遅れた調査項目について、可能な限り追跡調査を行った(8月4日から9月10日)。 具体的には(1)ボリバル県南部の低地部(アレナル、ノロシ、ほか5か村)、(2)サンタンデール県バランカベルメッハ市(マグダレーナ川中流域の中心都市)(3)チョコ県アルト・サンファン地域のコンドート郡および1か村での観察とインタビュー調査である。それぞれの地で農村住民集会や全国集会のセミナーや共同体訪問などの形で農村共同体にアプローチしつつ中心となる農民組織(1)FEDEAGROMISBOL(ボリバル県南部農民と鉱山民連盟)、(2)ACVC(シミタラ渓谷農民協会)および(3)COCOMACOIRO(コンドートおよびイロのアフロ系共同体委員会)の活動内容とそれらを支援する国際市民組織や国内NGOとの連携について情報収集を行った。移動手段、現地市民社会との調整などが困難なボリバル県南部とチョコ県の金採掘現場に足を運ぶことができたのは収穫であった。また、不法金採掘(環境基準における違法な採掘行程の実施)業者が侵入している実態、共同体主導の経済自立化をめざした生産プロジェクトの進捗状況などを合わせて確認することができた。後者は国際支援に依存する傾向が依然強く、農民組織と市場、国家(経済政策)との関係が明らかになった。
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Research Products
(3 results)