2009 Fiscal Year Annual Research Report
海域東南アジアにおけるグローバル・アクターと周縁社会―開発過程の国家間比較
Project/Area Number |
21510271
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
長津 一史 Toyo University, 社会学部, 准教授 (20324676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 人文社会学部, 准教授 (90336701)
青山 和佳 北海道大学, 大学院・メディアコミュニケーション研究院, 准教授 (90334218)
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Keywords | 海域東南アジア / サマ人 / グローバル・アクター / 開発 / 国家間比較 / 宗教団体 / 環境NGO / イスラーム |
Research Abstract |
【打合せ等】本年度は、まず5月および7月に東洋大学において、3年間の研究計画に関する打合せを行った。この時までに各メンバーは、島嶼部東南アジア3ヵ国のサマ人の開発過程に関する文献リストを作成(フィリピンは青山が、マレーシアは長津が、インドネシアは赤嶺が担当した)した。7月の研究打合せのさいには、本プロジェクトで作成する『海域東南アジアの社会動態に関する基礎資料集成』(英文)』の具体的な構成を決定した。『資料集成』では、サマ・バジャウ人の人口動態、言語アトラス、移動に関する口頭伝承、物質文化、代表的な村落の基本情報、開発をはじめとする近代国家の影響等をその主な項目にすることを定めた。 【フィールド調査と研究活動】研究代表者と赤嶺は8月にインドネシアの南東・中スラウェシのサマ人集落において、青山は12-1月にフィリピン・ミンダナオ島ダバオ市のサマ人集落において、それぞれフィールド調査を実施した。長津は、イスラーム統一協会(PERSIS)の宗教学校卒業生らによる村落開発(ダーイda'i)に、赤嶺は、ザ・ネイチャー・コンサーヴァンシー(TNC)がサンゴ礁保護ならびに生業支援活動に、青山はペンテコスタ派教会の開発関与にそれぞれ焦点をおき、サマ社会の開発過程に関する調査を実施した。代表者は、2010年2月に白山人類学研究フォーラム"Reconsidering Social History of Maritime Folks in Southeast Asia : From the Sama-Bajau Perspec-tives"を開催した。研究メンバー三名は、それぞれの調査成果の一部を同フォーラムにおいて公表すると同時に、各自の論文において公表した。また、代表者は主編者として、東南アジアの開発と周縁世界に関する編著作[長津・加藤(編)2010]を公刊し、同書所収の論文においてマレーシア・サバ州の国境社会における開発過程についてまとめた。
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[Journal Article]2010
Author(s)
長津一史
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Journal Title
「序島嶼部東南アジアの開発過程――周縁世界の経験とアクチュアリティの理解に向けて」『開発の社会史――東南アジアにみるジェンダー・マイノリティ・境域の動態』(長津一史・加藤剛(編))(風響社)
Pages: 9-31
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[Journal Article]2010
Author(s)
長津一史
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Journal Title
「開発と国境――マレーシア境域における海サマ社会の再編とゆらぎ」『開発の社会史――東南アジアにみるジェンダー・マイノリティ・境域の動態』(長津一史・加藤剛(編))(風響社)
Pages: 473-517
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[Journal Article]2009
Author(s)
長津一史
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Journal Title
「境域の言語空間――マレーシアとインドネシアにおけるサマ人の言語使用のダイナミクス」『多言語社会インドネシア』(森山幹弘・塩原朝子(編))(めこん)
Pages: 183-212
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[Journal Article]2009
Author(s)
長津一史
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Journal Title
「島嶼部東南アジアの海民――移動と海域生活圏の系譜」『東南アジア(朝倉世界地理講座3)」(藤巻正己・野間晴雄(編))(朝倉書店)
Pages: 250-259
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[Journal Article]2009
Author(s)
赤嶺淳
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Journal Title
「ナマコをめぐるエコ・ポリティクスーナマコ戦争とワシントン条約」『地球環境史からの問い――ヒトと自然の共生とは何か』(池谷和信(編))(岩波書店)
Pages: 254-270
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