2010 Fiscal Year Annual Research Report
西アジアの伝統的住居における環境共生機能からみた継承と変容に関する研究
Project/Area Number |
21510275
|
Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
新井 勇治 愛知産業大学, 造形学部, 准教授 (20410855)
|
Keywords | 西アジア / サフランボル / 住居 / 商業施設 / 環境 / ソファ(広間) / 中庭 / 古代ローマ |
Research Abstract |
平成22年度は前年の平成21度に行ったトルコでの住居調査で得た伝統的住環境に関する収集データの検証・分析し、さらにトルコの伝統的住居・商業施設が西欧化・近代化する過程における環境共生機能や形態の変容に関しての調査・考察に重点を置いた。 トルコのイスタンブルでは、新旧商業地区におけるハーン(隊商施設)を対象とし、19世紀以降に興った西欧化の影響下での環境共生機能・形態の変容について調査・考察を行った。特に、ハーンの敷地・中庭形状、中庭の室内化に着目し、現地調査を行った。本調査を通し、イスタンブルの伝統的商業施設から現代商業建築物に至る建築形態の変容について、中庭の機能と形態が指標となり得ることが確認できた。 トルコ・サフランボルでは、伝統的木造住居を対象とし、19世紀以降に建設された伝統的木造住居について、西欧化の影響化での環境共生機能・形態変容について調査・考察を行った。サフランボル旧市街に立地する店舗併設木造住居や新市街の現代的集合住宅を対象とした実測調査を行った。近世、近代を経て現代に至るサフランボルの住空間変容を読み解く指標として、ソファ(広間)や接客空間が有効であることが確認できた。 19世紀以降の西欧化・近代化期を研究対象範囲として扱うことで環境共生という今日的課題に通じる点が意義あるものといえる。 また、西アジアに大きな足跡を残した古代メソポタミアや古代ローマ時代における建築の継承性についても重要な視点である。中庭を中心とした建築形態や、石造と木造による構造体の構成、居室のあり方、さらにそこでの環境を生かした生活スタイルについての考察を進めている。
|
Research Products
(4 results)