2010 Fiscal Year Annual Research Report
アラビア語を用いた地域住民との研究資源共有化による社会的意思決定サポート法の構築
Project/Area Number |
21510278
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
縄田 浩志 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (30397848)
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Keywords | 環境政策 / 文化人類学 / 地域開発 / 住民参加 / エジプト:スーダン:サウディ・アラビア:アルジェリア |
Research Abstract |
環境影響評価には、研究者・行政従事者による情報公開と地域住民による社会的参加が欠かせない。しかし、発展途上国におけるこれまでの情報開示の手法(たとえば、環境影響評価に際しての準備書の周知など)は、情報への「公正なアクセス」という観点からは不十分なものであった。そこで、地域共通語を用いて、より効果的な住民参加の仕組みづくりを構築する、という構想にいたった。 本研究では、世界第2位の話者数を持つアラビア語に焦点をあてて、研究者、行政従事者、開発実践者、事業者、地域住民といった関係主体間のコミュニケーション方法を再検討することにより、地域社会の実態に即した住民参加の仕組みづくりに関する基礎研究を推進することを目的とする。そのために、地域住民の社会的な意思決定をどのようにサポートできるかという観点から、「地域共通語であるアラビア語による研究資源共有の往復運動(双方向の情報交流)」のアプローチを開発する。 初年度(平成21年度)に作成した中東における地域開発(とくに沿岸域開発)に対する環境影響評価手法のマスタープランをたたき台にして、本年度(平成22年度)は、アラビア語を用いた研究資源共有化の往復運動を繰り返しながら、より地域住民の意思決定サポートとなる形へと改善していった。とくに1)地域の生態学的特質また社会的状況に対する総合的な理解、2)共同体の特質に即した関係主体間のコミュニケーション方法の提示、に重点的に取り組んだ。主な調査地はエジプトの紅海沿岸地域であった。 また、雑誌論文3件、学会発表15件(国外1件、国内14件)を行い、研究成果の発信に努めた。日本中東学会第26回年次大会セッション「石油時代・中東における樹木資源の利用と課題」を主催して、本研究成果を発表した。
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