2011 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱国家支援のジェンダー分析:抑圧された人々の「人間の安全保障」をめぐって
Project/Area Number |
21510281
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
高松 香奈 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (10443061)
|
Keywords | ジェンダー / 開発 / 政府開発援助 |
Research Abstract |
平成23年度は、主に2つの柱に分け調査研究を行った。一つめの柱は、国内/ミャンマーでの、ODA関係者への聞き取り調査(質的調査)。2つめの柱は、聞き取り調査で得た情報に基づき分析指標を選択し、ODAが受け取り側(主に脆弱国家)のジェンダー平等にどのようなインパクトを与えるかの検証である(量的調査)。具体的には、これまでミャンマーで活動経験のある国際協力人材へのインタビュー(4月~9月)や、援助にかかわる機関(UNDP,世銀,UNODC等)の出版物などを入手した。また、ミャンマー現地での聞き取り調査(7月)も実施した。ミャンマー現地調査では、22年度の現地調査での結果との対比を行うことができた。それは、ミャンマーを取り巻く援助環境が徐々に変化し、主要DAC諸国が対ミャンマー支援の姿勢を変化させる中で、どのような政策議論が行われてきているのかの情報収集による対比である。これまでミャンマーという脆弱国家に対しては、国家の「正統性」を根拠に消極的な関与に留められてきたが、現在の動向は積極的関与に転じようとする特徴を持つ。しかし、何を契機(何を基準に)「正統性」を認識するのかについては、DAC諸国の対応にはばらつきが見られるのが現状といえる。7月の段階での調査結果については(その後も情勢に変化がみられるが)、『政府開発援助政策と人間の安全保障』(12月出版)に一部反映している。以上のインタビュー/現地聞き取り調査の結果をベースに分析指標を選定し、量的な分析も試みた。そこでは、被援助国(主に脆弱国家)の人間の安全保障(特にジェンダー平等分野)を促進する環境要因は何かということに着目したが、量的調査の結果が示唆したのは、援助の規模(拠出を基準)と個々人の生活に関係する指標(保健、教育、所得など)には、特に相関が確認されないということである。しかし同時に、被援助国の脆弱性をグループ化し、新たに分析することにより、異なった結果が出ることも予測された。量的調査結果は、2011年11月に開催された国際開発学会で発表。
|
Research Products
(4 results)