2009 Fiscal Year Annual Research Report
非婚女性の貧困と生活不安に抗する家族のオルタナティブに関する研究
Project/Area Number |
21510287
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 和恵 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (80201804)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
|
Keywords | 依存 / ケア / フェミニズム / シングルマザー / コレクティブハウジング / 平等 / シェアハウジング |
Research Abstract |
1) Eva Kittay,Love's Labor(Routledge 1999)を講読検討する研究会を大学院生とともに継続的に主催し、『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』として訳出した(2010年5月に白澤社より出版予定)。同書は、倫理学の分野での家族・ケアの倫理および新しい親密圏に関する議論と、政治理論の分野における社会正義論・平等論とを結びつけた重要な理論書であり、依存関係から生じる依存労働の不可避性を基礎とした平等概念の新たな地平を検討している。同書翻訳出版は、日本のフェミニズム理論・社会思想研究にとって大きな貢献となる。 2) NPOコレクティブハウジング社の協力を得て、すがもフラット他、コレクティブハウジング・シェアハウジングの現地調査を行った。こうした居住形態は徐々に浸透しつつあり、居住者の生の安定にとって高機能であるばかりでなく、地域社会の資源ともなっていることが判明した。また、最近では不況にともなって、一般ディベロッパーもシェアは薄事業に進出しており、このことは、こうしたオルタナティブな居住形態の認知度を高める機能がある一方、安易な事業進出も招いており、安全性・信頼性を損なっていく可能性もある。 3) シングルマザーが雇用と子育て支援・居住を両立させ得ている例として、温泉観光地の旅館の住み込み仲居業に着目、調査を行った。とくに石川県和倉温泉は、これまで、旅館経営者の側が従業員の安定確保のために積極的にシングルマザー雇用を行ない成功を収めた例であったが、近年の不況と地域経済不振によって、曲がり角を迎えつつあることが判明した。
|
Research Products
(4 results)