2011 Fiscal Year Annual Research Report
非婚女性の貧困と生活不安に抗する家族のオルタナティブに関する研究
Project/Area Number |
21510287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 和恵 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80201804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 八代 同志社大学, グローバルスタディズ研究科, 教授 (70319482)
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Keywords | 依存 / ケア / フェミニズム / シングルマザー / 正義 / 平等 / シェアハウジング |
Research Abstract |
1)非婚女性の生活不安をより広いケアの倫理と正義の理念のもとに考えて行くことをねらいとして、キテイ・岡野・牟田の共編著による『ケアの倫理からはじめる正義論---支えあう平等』を刊行した(8月、白澤社)。同書は、倫理学の分野での家族・ケアの倫理および新しい親密圏に関する議論と、政治理論の分野における社会正義論・平等論とを結びつけた重要な理論書であるキテイ著『愛の労働』のエッセンスを、より広範な層に分かりやすく伝えることを意図して出版されたものであり、フェミニズム理論・社会思想研究にとってのみならず、看護や介護の現場や青少年の性教育の場でも、有効であると評価を得た。 2)1)の成果の意義をより広く公開し、議論を深める目的で、公開研究会「ケアの倫理と社会構想」研究会を行った(24年2月20日、於同志社大学)。田村哲樹氏(政治学・名古屋大学法学部教授)、矢野久美子氏(思想史・フェリス女学院大学教授)、田丸理沙氏(ドイツ史・フェリス女学院大教授)らパネリストの報告と議論によって、ケアの倫理の可能性がより深く明らかになった。また、大学院生の参加も多く得ることができ、教育的効果も得られた。 以上の研究成果によって、非婚女性の将来不安の中心をなす、依存や孤立(経済的・社会的)に抗していくことのできる人のつながりの基盤、あるいは家族のオルタナティブについて、核心となるべきものが、ケアの倫理とそれにもとづく社会構想であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)