2009 Fiscal Year Annual Research Report
医師不足対策における女性医師の就労支援に向けた実証疫学研究
Project/Area Number |
21510290
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
野村 恭子 Teikyo University, 医学部, 講師 (40365987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
佐藤 幹也 帝京大学, 医学部, 助教 (90407932)
鶴ヶ野 しのぶ 帝京大学, 医学部, 助教 (10359630)
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Keywords | 女性医師 / 医師不足 / 就労支援 / 疫学研究 |
Research Abstract |
今年度は、従前わが国で女性医師の就労を困難にさせると報告されてきた労働環境や子どもの有無といった家庭因子のほか、医師の性に関連した不利益な経験と男女就労機会格差に注目し、これらの因子が就労状況(パートタイムvs.フルタイム)にどのように影響を及ぼしているか検討した。調査の対象者は、某大学医学部同窓会会員1346名中、676名(回収数:男性452名、女性224名)の男女医師である。性に関連した不利益な経験については、「性別のために有給ポスト獲得・昇進人事・終身雇用の機会を得られなかったと感じる経験はありましたか」と尋ね、さらに不利益な経験を受けた相手の職種と性別について尋ねた。男女就労機会格差については、適切な尺度がなかったため、「医学部で女性は昇進しにくい」を筆頭に14問を作成、因子分析を行い変数を新たに作成した。女性医師の就労状況は、フルタイムが66%、パートタイムは32%、無職および休職は2%(6名)であった。性別のための就労上の不利益な経験について「あった」と回答した医師は女性で40名(18%)であるのに対し、男性では15名(3%)であった。また不利益な経験を受けた相手の職種と性別では、女性医師で「異性の患者」、「異性の上司」が特に高かった一方で男性医師においては、職種や性別で差はなく頻度も「全くない」か「ほとんどない」であった。男女就労機会格差の14項目は1項目をのぞくすべての項目で、男性医師よりも女性医師で点数が高かった。統計学的に専門医の取得をしているとフルタイムにある傾向があることと、男女就労格差の点数が高いとパートタイムにある傾向が認められた。子どもの有無、性別による不利益経験は就労状況に関連を認めなかった。男女就労機会格差の得点が高いということは格差を強く認識しているということであり、それが就労状況と関連を認めたことは非常に示唆的である。
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Research Products
(4 results)