2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
戸島 貴代志 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90270256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 恒之 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60419223)
横地 徳広 弘前大学, 人文学部, 講師 (00455768)
|
Keywords | 垂直性 / 機 / 事象性 / 嘘 / 化粧 / 現象学 / 笑い / 超越 |
Research Abstract |
ハイパー・ダイアローグが一般的対話場面でどのように実際上の機能を果たしているかを特定することを、心理学における「状況設定」や「シナリオ形成」の場面における隠れた有効性を抉り出すことによって、結果として、従来のコミュニケーション論では木可通約的とされた異種対話間にも新たに別の通約性が見いだされ得ることになる。さらにまたこれを敷衍して、「死者との対話」や「神との対話」についても、その意味に関して思索するための、これまでにない哲学的-心理学的な「対話現象学」という立脚点の獲得が期待できる。22年度は、前年度から引き継がれた「垂直性」の観念を、心理学的実証性と哲学的普遍性の融合へと向けてより緊密な議論展開が図られた。哲学ポストでは新たに「笑い」の垂直性が導入され、また心理学ポストでは「嘘」の社会性という観念が新たに研究の焦点となった。 哲学ポスト 平成22年度は、「死者との対話」という本研究のエンドポイントへの準備として、「言葉の発せられる時機」というファクターに関心が注がれた。代表者・戸島の論文「死への産声」において展開されたのは、死者の旅立ちは同時に生者自身の新たなる出発の契機でもある、ということであった。また、横地は論文「道徳的人格性と物在性の交差-ハイデガーの役割存在論を求めて-」において、ハイデガーにおける「用在性」と「物在性」の概念を通して「人格」の新たな概念規定を模索した。 心理学ポスト 心理学的な側面からみた「嘘」の研究を拡張することにより、阿部は、嘘をつく効果を検証するための場面設定における「垂直成分」の入り込む余地に関して研究した。またこれにより、心理学的見地からの垂直性と哲学的見地からのそれとの、より学際的な融合が図られ、23年度における最終的目的へと向けた具体的な着手点が得られた。
|