2009 Fiscal Year Annual Research Report
「〈農〉の思想」の基本視座の現代的探求―環境・情報化社会の条件の下で
Project/Area Number |
21520005
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
尾関 周二 Tokyo University of Agriculture and Technology, 共生科学技術研究院, 教授 (00114819)
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Keywords | 哲学 / 農 / 持続可能性 / 環境 / 情報 |
Research Abstract |
当該年度は、持続可能な社会の構想の理論的、実践的な探求のなかで<農>をめぐって生まれた新たな問題意識や問題圏が人類史における<農>の恩想的文化的意義を踏まえた哲学アプローチを必要としているとの認識から、主要な課題として「<農>の思想」の現代的構築のための基礎的視座を探求することを目指して、理論的研究、調査研究を進めた。具体的な内容は、以下4点にまとめられる。 第一に<農>に関係する諸論文・著書の研究をふまえて、かなり長文の論文「<農>の思想と持続可能社会―共生理念からのアプローチ」を執筆し、基礎的視座を提起することができ、今後のより一層の探求に向けた大きなステップとなった。 第二は、以前にイタリアのMassimo Negrotti教授を招聘した際に発表した英文報告をもとに今回の<農>の研究の視点から改定し論文とした。 第三に研究室所属の院生(布施元、大倉茂、共に博士課程)とともに、<農>と環境教育の関係を専門に研究するAnette Schorner氏の協力のもとマドイツでの該当箇所について調査研究を行った。これの成果は環境思想・教育研究会の「<農>の思想」部会にて大倉が代表して報告した。科研費テーマに沿ったドイツならではの思想に裏打ちされた調査研究をすることができた。 第四に中国社会科学院・哲学研究所副所長の孫偉平教授を招聘し、環境思想・教育研究会にて持続可能な<農>の思想的意義にかかわる講演してもらい今後の中国との国際交流や中国での調査研究の足がかりができたと思われる。 以上、4点にまとめらる当該年度の具体的内容は、論文執筆に代表される理論研究によってテーマの手掛かりを得るとともに、ドイツ調査研究においてその理論の可能性を実感でき、理論と実践を連携して研究をすすめるできたことに意義があると考えられる。また、その理論と実践のかかわりを強調する一方、国際交流を進めることで、本研究の協働性に広がりが出てきたことが重要である。
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