2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 康雄 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60237477)
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Keywords | 唯名論 / メレオロジー / 形而上学 / 科学技術論 / 科学哲学 / 行為主体 / 応用哲学 / ロボット工学 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の研究で構築された<現代唯名論の理論>を基盤にして、おもにその応用的研究を展開した。主たる応用領域として本年度では、科学技術論とロボット工学への理論適用を模索した。科学技術論への応用の成果は、著書『科学哲学』(2010,人文書院)や『応用哲学を学ぶ人のために』(2011,世界思想社)中の論文「形而上学から科学技術論へ」としてまとめられている。前者の著作の一部では、科学技術を扱うための形而上学的枠組みの問題も議論されている。また後者の論文は、道具や装置の使用を行為主体のメレオロジー的拡張として記述したものである。さらに、ロボット工学への応用としては、アンドロイド・サイエンスや認知発達ロボティックスという新分野での研究を哲学的観点から考察・吟味する研究発表を、哲学内部だけでなく、関連諸領域においても試みたものである。このような活動を通して、学問の現場で哲学が果たしうる役割を明らかにすることを試みた。 全体としては、学会等発表(国内5件、国外2件)、論文発表(3件)、著書2件、(内1件は単著に近いもの)などを通して、メレオロジーの応用を中心にした研究を積極的に展開した。また、2件の国際学会等での発表(韓国1件(招待講演)、中国1件)や、韓国からのSungho Choi准教授(Kyung Hee大学)の関西への招待や、台湾の大学での講演(「行為主体と認識主体」というタイトルでの台湾大学における12月13日の講演、「物理的、内省的、社会的事実」というタイトルでの清華大学における12月15日の講演)などを通して、東アジアの哲学領域での研究者たちとの意見交換を積極的に行った。この東アジアを中心にした研究活動は、今年度の活動の特徴でもある。
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