2012 Fiscal Year Annual Research Report
生物学の哲学における遺伝子還元主義的思考の対案としての階層論的思考の可能性の研究
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21520028
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松本 俊吉 東海大学, 総合教育センター, 教授 (00276784)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝的決定論 / 遺伝子P / 遺伝子D / 適応主義 / 社会生物学 / 進化心理学 / 進化的機能分析 / 自然選択の単位 |
Research Abstract |
・日本組織適合性学会のシンポジウムに招かれ「遺伝子の決定性」に関する考察を開陳した。「遺伝的決定論」の表現に込められた肯定的/否定的含意の歴史的変遷、特権的なマスターコードとしての遺伝子の概念の現代の生命科学における相対化、「遺伝子」概念の多義性に由来する生命科学の異なる分野間(たとえば進化生物学と分子遺伝学)に見られる一種の「通約不可能性」、といった問題を哲学的に分析した。 ・“Conceptual Problems in Evolutionary Biology: Adaptation, Human Culture, and Units of Selection”と題する英語博士論文で、慶應大学文学部から博士号を取得した。その中で私は、進化論的説明によって人間本性(ヒト種固有の文化的行動や心理メカニズム)を「自然化」しようとする(人間)社会生物学や進化心理学などの研究プログラム、またドーキンス流の「利己的遺伝子」の視点だけでどこまで生物界の多様性や階層性が説明できるかという自然選択の単位の問題を詳細に検討しながら、自然選択に訴えて形質の進化を説明する進化生物学における適応主義的な方法論の強みと弱み、有効性と適用限界を明らかにするという作業に取り組んだ。 ・ドイツ科学哲学会(GWP)の設立記念国際会議の一般発表に応募していた“Evolutionary Functional Analysis Revisited”と題する論文が採択されたため、3月にライプニッツ・ハノーファー大学で開催された会議で報告した。そこで私は、「進化心理学は、進化的機能分析という科学的な方法論を採用しているがゆえに、反証不可能な“just-so story”(なぜなぜ物語)を弄するかつての社会生物学とは異なり、まっとうな科学的研究プログラムである」という進化心理学者の主張を批判的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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