2010 Fiscal Year Annual Research Report
北方宗教哲学の共生原理と「神」概念-北方少数先住民族とキリスト教-
Project/Area Number |
21520030
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中里 巧 東洋大学, 文学部, 教授 (40277348)
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Keywords | 北方 / 先住民 / アニミズム / 宗教 / 共生 / サガ / 古神道 / アイヌ |
Research Abstract |
平成22年度は、ノルウェー初期木造教会調査済み資料のデータベース作成作業・北海道アイヌの現地調査・イヌイットやサーミなど先住民族の宗教儀礼や神話観の研究をおこなった。より具体的には、1.北方地域の少数民族に保存されているシャーマン儀礼やアニミズム的世界観における共生原理について、調査研究した。2.そのさいヨーロッパ的思考のシンボルとしてのキリスト教が、そうした共生原理を如何に保存・変容・破壊しているかも同時に、調査研究した。3.今後、日本においてそうした共生原理を実践するにはいかなる方法が具体的に可能か、その展望を示した。4.西洋哲学における神観や理神論の再検討をおこなった。作業としては、年間を通しての初期木造教会データベース化作業・アイヌやイヌイットの文献資料のリスト化や情報の収集や解読・北海道アイヌ文化現地調査・初期木造教会図像解読・アイヌ文化やオホーツク文化やイヌイット文化の宗教儀礼の比較ならびに資料整理・論文作成・より学問的に意義ある形として公開講座に代わる検討会をおこなった。意義・重要性としては以下の通りである。1.北方少数民族のアニミズム的自然観が今後の共生原理構築にとってモデルとなり得ることが明らかになってきたこと。2.キリスト教における共生性と反共生性について、ノルウェー初期木造教会画像解読から明瞭になってきこと。3.共生原理の構築にとって古神道とアイヌ宗教民俗ならびに縄文民俗の関係性が重要であることが明らかとなってきたこと。4.キリスト教との大きな違いは、暴力や支配や権力にかんする理解について、大きな違いが見られることが明らかとなってきたこと。以上である。
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Research Products
(4 results)