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2011 Fiscal Year Annual Research Report

病の総合的研究を媒介とした哲学・倫理学の再検討と再構成

Research Project

Project/Area Number 21520035
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

小泉 義之  立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (10225352)

Keywords病気観 / 痛みの哲学 / 結核の歴史 / 低線量被曝 / 精神医療史
Research Abstract

本研究は文献資料研究を中心として、「病の総合的研究を媒介とした哲学・倫理学の再検討と再構成」を進めるものであるが、本年度は主として以下の点に重点を絞り、研究成果を発表した。
第一に、生命倫理学・医療倫理学における身体概念を歴史的に検討するために、第二次政界大戦時から戦後にかけての日本結核医療に関わる文献、とくに結核医自身による当時の文献、患者運動史に関する文献を収集して、その中から医療化されるまでの身体の位置づけを、特に手術との関連でまとめて研究成果として発表した。これによって、戦後期の癌の医療・公衆衛生、また癌を中核とする病気観の前史とも言うべきものを把握することができた。このことは今後の本研究の展開に資するところである。
第二に、病の症状・徴候の典型・中核と言える痛みについての哲学的成果をまとめることができた。これは、現代医学の主要な疼痛理解のためのモデルを批判的に検討しながら、アリストテレス『デ・アニマ』を再読してその現代的意義を示したものである。この検討を通して、痛みの感覚について、今後の展開の基礎を据えることができた。
第三に、3・11以降の議論を受け、低線量被曝の意味に関わって、戦後期の癌やウイルス感染症によって形成されてきた病の公衆衛生的理解の検討を進めた。それを通して、3・11以降の状況が、否応なしに病の哲学・倫理学的理解の再考を迫るものであることを示した。今後の本研究において、この点での成果をまとめることを新たな課題としておきたい。
第四に、本研究の中間報告として、レオナ・L・バクラック「脱施設化--社会学的パースペクティヴからの分析と総説」(Leona L. Bachrach, Deinstitutionalization: An Analytical Review and Sociological Perspective(U.S. Department of Health, Education, and Welfare: Reports Series on Mental Health Statistics, 1976)を全訳(400字・130枚程度)して大学HP(URLは下記参照)に掲載した。これは戦後期米国の精神医療をめぐる総合的で重要な総説論文である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究成果を着実に公刊・公表してきた。ただし、中間報告は総説論文の全訳・公開にとどまり、それに付すべき哲学的・倫理的な総合的考察を加えることができなかった。この点は、最終の研究成果報告時に補足した形のものを公開する計画である。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、「病の総合的研究を媒介とした哲学・倫理学の再検討と再構成」を進めていく。特に、本研究の成果を哲学・倫理学の文献に繋げる研究を進めていく。これについては、本年度、疼痛論で行うことができたが、その方式をより強めていきたい。すなわち、結核、癌、ウイルス感染症などの事例に関する制度的・医療的・運動論的研究成果を踏まえて、特に生命・技術を主題とする哲学・倫理学の文献を再考して研究成果としてまとめていく。

  • Research Products

    (7 results)

All 2012 2011 Other

All Journal Article (5 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 身体--結核の歴史から2012

    • Author(s)
      小泉義之
    • Journal Title

      生命倫理の基本概念

      Pages: 72-87

  • [Journal Article] 経済の起源における債権債務関係の優越的地位--『道徳の系譜』と『通貨論』2012

    • Author(s)
      小泉義之
    • Journal Title

      現代思想

      Volume: 40-2 Pages: 210-217

  • [Journal Article] 田辺元のコミュニズム2011

    • Author(s)
      小泉義之
    • Journal Title

      思想

      Volume: 1053号 Pages: 184-196

  • [Journal Article] 出来事の時--資本主義+電力+善意のナショナリズムに対して2011

    • Author(s)
      小泉義之
    • Journal Title

      思想としての3・11

      Pages: 121-130

  • [Journal Article] 傷の感覚、肉の感覚--その後は、叫ぶ人はもういなくなるだろう。耳に栓をする人もいなくなるだろう。(サルトル)2011

    • Author(s)
      小泉義之
    • Journal Title

      現代思想

      Volume: 39-11 Pages: 135-147

  • [Book] 脱原発「異論」2011

    • Author(s)
      市由良彦・小泉義之, 他
    • Total Pages
      211
    • Publisher
      作品社
  • [Remarks] 立命館大学大学院先端総合学術研究科>スタッフ>小泉義之>仕事

    • URL

      http://www.r-gscefs.jp/?p=950

URL: 

Published: 2013-06-26  

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