2011 Fiscal Year Annual Research Report
「朱子学」の誕生-南宋後期における士大夫思想展開の発展的研究-
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21520047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市來 津由彦 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30142897)
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Keywords | 朱子学 / 科挙 / 士大夫 / 為己之学 / 民間郷里社会 |
Research Abstract |
本研究は、朱熹学術の受容者層からの視点、同時代諸学の相互交流という思想学の視点、地域士人の社会的あり方や科挙学術の動向という社会史の視点を取り入れ、南宋後期の士大夫思想界の思考枠組の展開現場を複合的に検証し復元することを目的とする。 本年度は、地域社会から王朝レベルへの支持様態の転換について追跡するにあたり、東洋史中国宋代史の地域史研究との連携が必須の課題であるとして、近年の欧米、中国におけるその動向と交流すべく、米国で研究する中国人若手研究者らを国際東方学者会議パネルに招いてパネルを開催し、加えて付随するワークショップを年度はじめに開いた。ざらに、この会議パネル及びワークショップの成果を新年度に公刊すべく編集に参加している。 一方、身体的実践知形而上学的諸問題を注釈という場を利用して「説明」の言葉の上に位置づけることができたことがその学の広範な支持者を得る基礎となったという、前年度の中国語発表論文の内容を増補充実させて日本語の新たな論文として発表した。 さらに、こうした「朱子学」の広がりが行き着くのが東アジア全体であることをにらみつつ、その広がるしくみについて、「中庸」解釈を柱として試論を発表した。またその論集の主編集をつとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教育分野を構成している三人の教員の一人が年度当初に急逝されたため、余力のすべてを教育に急遽投入せざるを得なくなった。さらに私的な理由になるが、自宅が仙台にあり地震の影響を多少こうむったため、他の研究や教育も含めて年度はじめは研究が大きく遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
「説明」の言葉の形成という朱子学が支持される根本理由の探究に研究が一時向かったが、最終年度は当初の計画にもどり、地域社会から王朝レベルへの朱子学の支持様態の転換について、地域の朱子学支持層の心性の探究と、南宋嘉定年間以後の科挙の問題の解析等により、朱子学人脈および朱子学学術の伸長とその質的展開について追跡したい。
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Research Products
(3 results)