2009 Fiscal Year Annual Research Report
密教流伝史研究-インド・チベット密教翻訳僧データベースの構築-
Project/Area Number |
21520053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桜井 宗信 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (30292171)
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Keywords | インド密教学 / チベット密教学 / 聴聞録 / 翻訳僧 / 密教流伝史 |
Research Abstract |
(1)『Tson kha pa聴聞録』(4版)・『mKhas grub rje聴聞録』(2版)及び西蔵大蔵経(4版)を複写により入手した上で,今後の作業において底本としての役割を担う『Bu ston聴聞録』よりインド・チベット密教流伝史に関連する系譜を選別し,データを表計算ソフト・ワープロソフトによって電子ファイル化した。更に系譜上に登場する文献名を『十万タントラ目録』・『Bu ston論疏部目録』・『東北目録』・『大谷目録』など現存目録類の記載及び実際の文献と照合しながらその比定を行い,一方略名(或いは渾名)で記載されているインド・チベット僧も可能な限り同定し,各系譜に認められる基本性格を一層明確にした。 (2)『Bu ston聴聞録』に記載された父タントラに関連する系譜に関して,上記(1)で挙げた2聴聞録等の内容との比較対照を行い,各系譜に含まれる事項の内容確認と精度の向上を図った。 (3)別して,父タントラを代表する著名なタントラGuhyasamajatantraに関わる系譜の検討・解析を行った。そしてその成果をも踏まえた上で,「ジュニャーナパーダ流」と並ぶ同タントラ2大流派の一つ「聖者流」に属する密教僧Aryadevaに帰される「荼毘儀軌」[Toh 1807 : Ota 2663]の読解・考察を行って,同流が伝えた葬送儀礼の性格と特徴の一端を明らかにし,「聖者流の伝える荼毘儀礼」と題する論文に纏めて『現代密教』誌上で発表した。
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