2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520062
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Research Institution | The Eastern Institute |
Principal Investigator |
堀内 伸二 財団法人東方研究会, 研究員 (20271504)
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Keywords | 法華経 / 教判 / 白隠 / 禅画 / 臨済禅 / 天台 / 日蓮教学 |
Research Abstract |
昨年にひきつづき白隠直筆の註法華経のデータベース化を行った。本年は、特に如来寿量品第16を中心におこなった。同本は、迹門立ちの天台学に対して、本門立ちの日蓮教学上において非常に重要な意味をもつ章で、白隠禅師が、同本にたいしてどのような教判論上の立場を採っているかを考える上でも非常に重要な章である。天台三大部を始めとする、引用仏典の研究をはじめ、同章の詳細な研究を今後進めていきたいと考えている。 白隠禅師が用いている註法華経の版本が、立正大学に複数所蔵されていることが判明したので、文献学的基礎を確かなものとするため、同大学に数度通い、これら諸版本の研究を併せて行った。中には、おそらく日蓮宗の教学者と思われる人の詳細な書き込みがある版本があり、同本は、今後の研究において参考となると思われる。 また白隠禅師の書画についても昨年と同様研究を進めた。早稲田大学所蔵の書画、また同大学で開催された美濃白隠展出品の書画、さらに個人所有の書画などの調査を行った。特にある個人所有のものには、良品が多く、中には、未見の白隠の書が含まれていることが判明。同書が意味する内容を今後研究する必要がある。 また松蔭寺、国際禅学研究所をたずね、白隠研究の専門家と意見交換をおこなった。特に、後者のトーマスカーシュナー氏からは、臨済禅の実際と白隠研究の現況に関して貴重な意見を聞くことができた。
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