2011 Fiscal Year Annual Research Report
キリスト教の現地適応と儀礼の変容-南インド・カトリック教会とグローカリゼーション
Project/Area Number |
21520063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡光 信子 東北大学, 大学院・文学研究科, 専門研究員 (50447116)
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Keywords | グローカリゼーション / インド / キリスト教 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宗教が現地適応する現象を「グローカリゼーション」という概念で捉え、南インド・カトリック教会の一教区を事例として、カトリック教会がその普遍性を維持しながら地域文化を取り入れることで現地適応するという現象を「インカルチュレーション」という概念を援用しながら、宗教のグローカリゼーションについて考察するものである。研究方法として、調査地である南インドの教区で見られる宗教儀礼を集中的に調査し、儀礼の中で維持されているカトリック教会の定める必要不可欠な要素および現地的な要素を具体的に検証した。 申請者は、研究課題を追究するためにインドに渡航し、現地のキリスト教の状況を参与観察し、それぞれの地域のカトリック教会の現地でしか入手できない文献を収集した。海外調査により、現地でしか入手できない貴重な資料を収集することができた。これらの資料は、カトリック教会が公式に出す声明を参照にしながら検証することで、本研究の課題である宗教の「グローカリゼーション」に付随する様々な問題を地域の歴史や文化的な背景を交えて浮き彫りにすることができた。現地のカトリック教会における参与観察は,各教区で実践される宗教儀礼を具体的に記録することができ、現地適応された宗教儀礼を人々がどのように受け入れているのかを具体的に観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者のインドに渡航する時期がキリスト教の重要な儀礼であるクリスマスとイースターの時期と一致しないため、こうした宗教儀礼の様子をヴィデオに収めることが出来ず、儀礼の変容に関するデータが不足している。しかし、それを補う形で現地での聞き取り調査を行っており、重要な宗教儀礼に関連して行われる習俗に関するデータを収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、カトリック教会を事例として宗教が現地適応する現象を「グローカリゼーション」という概念で捉え、宗教のグローカリゼーションについて考察することである。そのため、現地での宗教儀礼および宗教儀礼に付帯する世俗的な行事に関するデータ収集が不可欠である。研究代表者は、研究期間中に現地調査を行い、調査地である南インドのカトリック教会の儀礼と関連事項に関するデータを収集し、バチカンの公式文書にあるインカルチュレーションの記載を参照しながら、宗教のグローカリゼーションに関する分析を行う。今後は現地調査で得られた知見を利用して、宗教のグローカリゼーションについてさらに考察を深めたい。
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Research Products
(10 results)