2011 Fiscal Year Annual Research Report
宗教的資源の観光的活用と世界遺産指定との関係に関する宗教学的研究
Project/Area Number |
21520065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 弘 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40201842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 勝彦 長崎国際大学, 大学院・人間社会学部, 教授 (10195357)
松井 圭介 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60302353)
浅川 泰宏 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (90513200)
森 悟朗 國學院大學, 研究開発推進機構, 助教 (10445463)
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Keywords | 熊野 / 熊野古道 / 五島巡礼 / 巡礼センター / カトリック教会 / 世界遺産 / 根獅子 / 災害 |
Research Abstract |
今年度は、若干予定を変更して、主に長崎を中心に調査を行った。まず、計画通り、五島市と新上五島町の調査を実施した。五島市はカトリック巡礼センターのステーションを訪れて、その担当者に聞き取りをした。さらに、奈留島に渡り、カクレキリシタンの集落とその研究センターを訪れた。新上五島町では、同じく巡礼センターのステーションを訪れ、聞き取り調査を行った。また、同町では、世界遺産指定を見こんで、巡礼者の増加を期待して彼らを収容できるホテルも建設されるようになっており、そのホテルの関係者にも聞き取りを行った。新上五島町としては、巡礼を含めて韓国からの誘致に力を入れていることを実感した。さらに、昨年、調査した熊本県の天草の対岸にある島原半島のキリシタン関連遺跡(原城趾、キリシタン墓石)を訪れ、南島原市役所の担当者にも聞き取り調査を行った。これとは別に、長崎のキリスト教教会群の関連資産の重要な要素であるカクレキリシタンと深く関わる外海と平戸市の根獅子町も、昨年と同様に聞き取り調査を行った。とりわけ、後者は、自らの先祖の信仰であるカクレキリシタンの伝統を積極的に町おこしに活用し、その地の6名の殉教者に因んで「おろくにんさま」という地酒を造ったことは興味深い。また、平戸において、カクレキリシタンの聖地と呼ばれている安満岳にも登り、頂上付近にある祠の調査を行った。 熊野・吉野地域については、熊野古道をさらに調査する予定であったが、結果的に、大型の台風によって甚大な被害を被った、熊野の三つの神社(那智大社、速玉大社、熊野本宮)の現状を見聞するに留まった。熊野川の辺に位置していた世界遺産熊野本宮館が大きな被害を受けたのは痛恨の極みであった。 四国については、予算の関係で残念ながら調査することができなかった。後日を期したいと思っている。
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