2010 Fiscal Year Annual Research Report
モニュメントの宗教学:一地方都市における「記憶と歴史」をめぐる基礎的調査研究
Project/Area Number |
21520067
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
關 一敏 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50179321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯嶋 秀治 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60452728)
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Keywords | 宗教学全般 / 日常性 / モニュメント / 記憶 / 都市空間 |
Research Abstract |
本プロジェクトは「記憶」と「モニュメント」を両軸とし、地方都市・福岡の都市空間を対象とする。今年度は、(1)関連分野の専門家ゲストをふくむ2回の全体研究会と数度の研究連絡のほか、(2)研究協力者を含む数次のフィールド調査をおこなった。とくに(2)においては、博多部に加え福岡部を軸とする基礎的データ収集をこころがけた。記憶媒体としてのモニュメントの存在を地図化し、個々のモニュメントにかかわる出来事や人物をめぐる記憶をカード化する方法をとった。 初年度につづいて、(1)の理論的展望と(2)の資料化の二点で深化を図ったものの、両者の接合において試行段階である。(2)の成否が(1)との摺り合わせを左右する面が強く、モニュメント要素のうち、a)空間と場所(都市空間のアメーバ状の分節)、b)時間と歴史(三層に生きられる歴史感覚)、c)担い手たち(創出・管理・参与の濃淡)のいずれについても、500余の基礎的データの累積途上(約2/3)の段階である。よって最終目標のd)類型化未満ながら、散発的な聞き書きから得た知見をあげて最終年度へと橋渡ししたい。 1)出自の判明しないモニュメント群:寺社・小祠周辺に蝟集する群小モニュメント、私的来歴と思われる単立モニュメント、たんに在るとしかみえないモニュメント。これはその存在自体が都会性の表出であるが、記録方法になお工夫が必要である。2)来歴の文字化されたモニュメント群:教育委員会や町おこし集団による解説(立札、ネット)と記憶表象とのかかわり。文字媒体による記憶の一局面の固定化とその帰結の課題として。3)類型化の再構築:i)史的、ii)記念と顕彰、iii)哀悼と厄災の三類型からこぼれおちるモニュメント群の意味づけの課題。上記1)の来歴不明のもの、町なかのオブジェ等。
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