2009 Fiscal Year Annual Research Report
古代アレクサンドリアの聖書解釈の系譜における貧困と富、禁欲の理解
Project/Area Number |
21520068
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
出村 みや子 Tohoku Gakuin University, 文学部, 准教授 (20183874)
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Keywords | 修道制的禁欲主義 / アレクサンドリア / 貧困 / 富の有効な活用 / 聖書解釈 / アレクサンドリアのフィロン / 観想的生活 / オリゲネス |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代アレクサンドリアの聖書伝承における貧困と富、禁欲の理解の変遷を辿り、後代の西欧世界の修道制的禁欲主義や貧者への喜捨といった社会制度の確立にどのような影響を及ぼしたかを明らかにすることにある。 今年度の研究活動として、2009年9月10日から12日までの期間、東北学院大学土樋キャンパスを会場として「アジア環太平洋初期キリスト教学会」を開催し、日本とオーストラリア、韓国、ロシア、南アフリカから参加者を迎えたことが挙げられる。私もパウロ研究で発表し、この論文は2010年に刊行予定の学術雑誌Scrinium,vol.5:Patrologia Pacifica,St Petersburgに収録予定である。 さらに2010年3月19日から20日には韓国のソウルにあるキリスト教長老主義大学(Presbyterian College and Theological Seminary)を会場として、「教会史における貧困と富、社会福祉」を主題とする最初の国際学会が開催され、私も研究チームと共に参加し、学術的交流を行うことができた。 次に個別研究としては、東北学院大学のキリスト教文化研究所主催のキリスト教文化講座で「アレクサンドリア神学における貧困と富の理解(2)アレクサンドリアのフィロンの『観想的生活』を中心に」という題で研究発表を行った。これは昨年に引き続き、古代アレクサンドリアにおける貧困と富、禁欲主義の問題を考察したものであり、これは2010年に刊行予定の同研究所の紀要に収録される予定である。 最後に、これまでの研究を集大成した博士論文「聖書解釈者オリゲネス--復活をめぐる論争を中心として」を東京大学大学院人文社会系研究科に提出し、10月4日の口頭試問を経て2010年3月4日に博士(文学)の学位を取得したことも今年度の研究の成果であった。
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