2009 Fiscal Year Annual Research Report
岩下壮一と鋼脇龍妙にみる救癩思想の比較宗教学的研究
Project/Area Number |
21520074
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Research Institution | Aichi Konan College |
Principal Investigator |
輪倉 一広 Aichi Konan College, 社会福祉学科, 教授 (10342122)
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Keywords | 救癩 / ハンセン病 / 岩下壮一 / 鋼脇龍妙 / カトリック / 日蓮宗 / 思想史 |
Research Abstract |
この課題研究は、戦前日本における宗教救癩実践家であった岩下壮一(カトリック)と鋼脇龍妙(旧蓮宗)の各救癩思想を比較宗教学的に検討しようとするものである。その際の研究上の視点は、岩下の救癩実践を惹起させた彼のカトリシズム理解に基づく救癩思想と、岩下とほぼ同じ時代に同業種で活躍した鋼脇龍妙の救癩実践を惹起させた彼の日蓮思想理解に基づく救癩思想とを比較することにある。 平成21年度は、当初、鋼脇龍妙にかかわる史料を収集することに傾注する予定であった。つまり、鋼脇龍妙が救癩実践の基地とした身延深敬病院(現在は、社会福祉法人「深敬園」が運営する身体障害者施設「かじか寮」)に残されている第1次資料を調査・分析することに主たる時間を充てることを考えていた。しかし、当該法人との交渉がなかなかうまくいかず、結局、調査の協力を得ることが出来なかった。 なかなかうまくいかす、結局、調査の協力を得ることができなかった。 そこで、鋼脇関係の調査は既刊の文献・資料の収集、身延山久遠寺およびその周辺と深敬園の外からの実地調査を行うにとどめた。ただ、来年度へと継続するこの実地調査から、宗教空間としての身延山全体の中で救癩施設である深敬病院がどのような位置づけにあったかを探ることが出来るのではないかと考えている。 他方、鋼脇関係の調査が予定通り進められなかったことから、21年度は一部として岩下関係の追加調査を行った。これは、聖心女子大学図書館で所蔵する岩下文庫(洋書のみ709タイトル、約1,100冊)について、岩下による相当量の書き込み・線引き等の内容を調べたものである。今後これらを分析することにより、岩下の救癩思想を支えた彼のカトリック理解の根拠を読み取ることができると考えられる。
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