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2011 Fiscal Year Annual Research Report

「徴候的知」の系譜をめぐる思想史的研究

Research Project

Project/Area Number 21520075
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

田中 純  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10251331)

Keywords徴候的知 / 潜在性 / ベンヤミン / アビ・ヴァールブルク / ジルベール・クラヴェル / ミニチュア / ダイアグラム / メタ世界
Research Abstract

本年度は漠然とした感覚によって喚起される一種の徴候的知や、ミニチュア化=縮小によって徴候的細部と化した対象が「予感」という形態で、現前する世界とは異なる世界を感知させる現象などをめぐる思想的な取り組みを、九鬼周造、パース、バシュラール、ベンヤミン、ヴァールブルクをはじめとする思想家の比較思想史的な分析によって総合的にとらえる作業を進めた。そのなかで、近年盛んになりつつある「ダイアグラム」をめぐる議論が徴候的知におけるミニチュア化と密接に関わり合っている点を発見し、ダイアグラム論を徴候的知に関連づける視点からの研究を遂行した。また、中井久夫による「メタ世界」論の吟味についても、この展望のもとに吟味を重ね、ドイツにおいてハンス・ウルリッヒ・グンブレヒトが展開している「潜在性(Latenz)」をめぐる研究が、メタ世界論と大きく重なるものであることを軸に、人文科学全般における「潜在性」の議論をメタ世界論と結びつける考察を試みた。グンブレヒトは潜在性というテーマの淵源が20世紀半ば以降のドイツ史や近年におけるメディア環境の変容にともなう時間経験の変化と関連していると論じており、このような視点から徴候的知の再活性化を歴史的に位置づける作業も進めることができた。ベンヤミンやクラカウアー、エルンスト・プロッホといった批評・哲学の分野における「徴候的知」の体現者たちが、1920年代初頭に南イタリア、とくにナポリやカプリ島で一種の知的コロニーを形成していた点については、ベルリンのベンヤミン・アーカイヴで基礎的調査をさらに進めた。ベンヤミンやクラカウアーが非常に注目した、バーゼル出身でポジターノ在住の作家ジルベール・クラヴェルについては、この知的コロニーの精神的環境を知るうえで鍵となる存在として評伝の形式で研究を深め、「徴候的知」をめぐるケーススタディとしての書籍刊行を準備している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 世界模型のかけら-「思考のイメージ」としてのダイアグラム2012

    • Author(s)
      田中純
    • Journal Title

      UP

      Volume: 473号 Pages: 55-61

  • [Journal Article] 鳥人間の影-ジルベール・クラヴェル『自殺協会』2011

    • Author(s)
      田中純
    • Journal Title

      UP

      Volume: 470号 Pages: 59-65

  • [Journal Article] 白い錯乱-ル・コルビュジエの「最初の絵画」をめぐって2011

    • Author(s)
      田中純
    • Journal Title

      UP

      Volume: 467号 Pages: 51-57

  • [Book] ムネモシュネ・アトラス2012

    • Author(s)
      田中純
    • Total Pages
      765
    • Publisher
      ありな書房

URL: 

Published: 2013-06-26  

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