2009 Fiscal Year Annual Research Report
死の臨床とケアをめぐる比較思想史的研究-キリスト教と仏教における思想的基盤と実践
Project/Area Number |
21520089
|
Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
須沢 かおり Notre Dame Seishin University, 文学部, 教授 (50171195)
|
Keywords | 死 / 臨床 / ケア / キリスト教 / 仏教 / 比較思想 / 苦しみ / 病 |
Research Abstract |
文献学的研究:死の臨床とケアの思想的基盤を明らかにするために、まず東西の古典のなかから死とケアに関係のある資料、テクストを収集し、それぞれの文献のなかから死とケアについての思想が表れている箇所を抽出し、比較検討し、死とケアの思想的な基盤となっているか明らかにした。旧約聖書、新約聖書、キリスト思想、現代の実存哲学の文献の中からキリスト教思想における死、苦難、隣人愛、十字架、復活、希望などの聖書的テーマがどのような点で死とケアの思想的な基盤となっているか解明した。現代ヨーロッパの思想において限界状況、死に臨む存在、不安、病といった実存的テーマが死をめぐる現代人の考察と理解にどのような影響をもたらしているか検討した。死の臨床とケアの思想的な背景・基盤がどのように実践されているかを調査した。国内では病院、ホスピスなどの関連施設で調査を行ない、2010年3月~4月にかけて、ドイツとフランスへ実地調査に出向き、現地の関連施設で死の臨床とキリスト教との関係を調査した。ドイツ、ビュルツブルク(Wuerzburg)大学附属病院において「魂のケア」(Seelsorge)という部門を訪ね、魂のケア、スピリチュアル・ケアがどのように行われているか、視察、インタビューを実施した。ドイツ連邦共和国の憲法140条に、病院、軍隊、刑務所、その他公共の機関において宗教的礼拝と魂のヘアへの要求があればそれに対して宗教団体が宗教的な行為を実施するのを認めなければならない、と明記されていることから、ドイツの国立の病院においても。「魂のケア」が死の臨床の場で果たしている役割が大きいことがわかった。フランスではカトリックの巡礼地、ルルド(Lourdes)を訪ね、病院、医務局などで調査、インタヴューをおこない、キリスト教と病、死、いやし、苦しみとの密接な関係が明らかになり、来年度の研究への着実な手がかりをつかんだ。
|
Research Products
(2 results)