2011 Fiscal Year Annual Research Report
死の臨床とケアをめぐる比較思想史的研究-キリスト教と仏教における思想的基盤と実践
Project/Area Number |
21520089
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
須沢 かおり ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (50171195)
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Keywords | 死 / 臨床 / ケア / キリスト教 / 仏教 / 比較思想 / 苦しみ / 病 |
Research Abstract |
死の問題を取り上げた東西の思想家、宗教家に見られる「死の思想史」を「死の臨床とケア」という現代的で実践的な観点から再構築するためにフランス、ルルドで実地調査を実施した。現地では医師、医療関係者、ボランティア、巡礼者、教会関係者にインタユーし、資料室で文献調査にあたり、ルルドにおけるキリスト教的な死の臨床とターミナルケアについて検証し、その思想的、宗教的基盤を解明した。病気の治癒、奇跡、死についてのキリスト教の思想基盤と実践との関わりを明らかにすることができた。東西の思想的・宗教的な背景が死の捉え方とターミナル・ケアの実践にどのような影響と特色を与えているかを分析し、日本とヨーロッパにおける死についての理解をめぐる類似点と相違点の基底をなす、仏教とキリスト教の影響について、文献学と臨床の両面から論究した。古今東西の思想家が、死に臨むことと、ケアの営みが、「人間の生」(life,vie、Leben)、「生命・生活・生涯」といかに関わり、死を存在論的観点から理解しようとしている点においては共通することがわかった。キリスト教を基盤とする西洋思想の生と死は二元論的に捉えられているのに対して、仏教では死と生は連続するものとして理解され、自然の思想と深い関わりをもっていることが明らかになり、この相違点が死の臨床とケアの実践に影響を与えていることがわかった。
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Research Products
(3 results)